2.4 横強度
船体が受ける水圧、甲板荷重、積荷、構造および機関などの重量などの外力に対抗して船体の横方向の外形を保つためフロア、フレーム、甲板、ビーム、ブラケット、ピラー、ウエブフレーム、ストロングビームなど適当に結合して横部材系を設ける。これらの横部材の強さを横強度といい、計算の際は船体の1フレームスペース間の横部材系だけについて考え、これらに結合されている底桁、甲板下カーダおよび船側縦材などの縦通材の影響は無視する。
もともと船の強度を論ずるのに、縦強度と横強度に分けて各々独立に取扱うのは全く便宜的なものであり、本来ならば船を一個の立体的構造物としてその綜合強度を論ずるのが正しいやり方である。しかし、それは一つの理想であって、船のように複雑な構造物ではとうてい不可能なことである。したがって、実用的な理論的取扱い法が考案されるまでは従来の方法によるほかはない。
この意味において横強度も、縦強度と同様に絶対的なものではなく、同様な計算法による他船の結果に対する比較強度と考えられる。
前節で述べた縦強度計算の裏には、横強度が十分あって縦強度を受け持つ外板や甲板がいつも正しい位置で働くことができるということが前提条件となっているし、また、横強度の計算には、横強度を受け持っフレームや甲板ビームの外側には外板や甲板があって横強度に大きな加勢をしていることを忘れてはならない。このような縦部材の影響を考慮する必要がある場合は、また別に縦横部材の相互干渉を考慮した立体的強度計算法によらなければならない。
2.4.1 横強度計算の基準
商船では船級協会規則とか船舶安全法に基づいて構造寸法を決定するので、特に横強度計算を要求されていない。多くの船では横強度は十分余裕があるものであって、破損例を調べても横強度の不足によるものは少ないものである。しかし、無甲板船、長倉口船など、とくに横強度が不足と思われる場合には計算を行なう。とくに潜水艦の場合は縦強度よりも横強度計算の方が重要である。
(1) 横強度部材
船の横強度は甲板ビーム、フレーム、フロァなどよりなる骨組構造と横隔壁との二要素で保持されている。船の横強度を比較するには、両者のうちいずれか一つについてその強度を計算すればよい。一般には横強度の主要材として骨組構造の方をとっている。
横強度部材としては、フレーム・甲板ビーム・ブラケット・縁板・フロア・1フレームスペースの幅の外板・甲板・内底板・ピラーなどをとる。
(2) 荷重の標準
(a) 水圧
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