日本財団 図書館


波の長さはこの船の長さと同じである。
波の高さは波の長さの1/20である。
この波を、縦強度計算するときの標準波といって、実際に起こる波のなかでは船にとってかなりきびしいものであるから、この波に耐える強度を持っていればたいていの場合には心配ないが、まれにはこれよりはるかに高い波が起こることがあることを銘記しなければならない。(とくに小型船の場合に多い。)
ここでトロコイドというのは、第2.27図に示すように、直線の上をころがっていく円の半径上の一点が描く軌跡である。洋上で起こる波の形は、トロコイド形によく似ていると考えられる。
(1) 標準ホッギング状態
標準波の山がにある。
貨物は船倉に満載している。
消費重量は前後部1/4Lの問に満載している。
(2)標準サッギング状態
標準波の谷がにある。
消費重量は中央部1/2Lの間に満載している。
ここで消費重量というのは、燃料・清水・食料・貯蔵品・水バラストなどの全部の重量のことで、ホッギング・サッギングをひどくするような積み方を基準にするのである。
また、貨物は船倉に満載するとちょうど満載喫水になるような、密度の均質な貨物を考える。船の強度は、このような標準状態に対して計算してあるので、この基準をこえる力が加われば、船体にヒビが入ったり、折れたりする危険もあることを忘れてはならない。(もちろん安全率があるから、すぐにこのようになることはないが)
 

第2.27図

 
2.3.2 縦強度計算における諸曲線
 
縦強度計算を行なうに当たって、まず重量と浮力の分布状況を知らなければならない。そのうち船の長さ方向の重量の分布を示す曲線を重量曲線という。その一例を第2.28図(a)に示す。
 
 
 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION