第2.22図
したがって、第2.22図(a)のように、船体を輪切りにしていくつかのブロックに分け、おのおののブロックは上下には自由に動けるが前後左右には離れないようなしかけにしてやれば、それぞれのブロックは、それぞれの重力と浮力が等しくなるために浮いたり沈んだりして、図の(b)のようになるに違いない。しかるに、船は(a)図のように完全なる一体として残らなければならないから、そためには、断面相互の間に移動を制止するためにある力が働いていなけれぱならない。このように、見た目には安らかに浮いているように見える第2.20図の場合でも、船体内部には引張・圧縮、せん断などの力が働いているのである。これらの力は船体を構成する各部材に加わって、それらの部材に複雑な応力を生じさせる。
(2) 波浪中を航行する船
静水中でも船体にはいろいろな力がかかっていることは前に述べたとおりであるが、波浪中ともなれば、さらに、その程度はひどくなり、船体の強度がこれに耐えなければ、損傷を生じたり、ひどい場合には真二つに折れることにもなりかねない。
(a)ホッギング
第2.22図は、船体の場所によって重力と浮力との大きさが違うことを示しているが、波があると浮力の分布が変わるから、二つの力の差はまた変わったものとなる。そのうち、甲板および船底に働く引張および圧縮が最も大きくなるのは、船がその長さと同じ長さの波長を持つ波に乗った場合で、波の山が船体中央()にくると第2.23図(a)のように、船の前後端部では重力が勝ち、では浮力が勝つから、船はちょうどをまくら木で支えられたときのように上
第2.23図
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