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る。また、陸上構造物は地面に固定・静止しているが、船体は種々雑多な貨物を積載して風波荒れ狂う海洋を航行しなければならない。したがって、船体に加わる荷重および外力を知ること、およびこれにより船体構造に生じる応力を求めることは、船の形と大きさ、荷物の種類と積み方、航路、季節、天候状態によって内的外的条件が大いに異なるため、その生じ得る最悪状態を予見することが非常に困難である。
船に加わる力を種々の場合について考えてみよう。
(1) 港内に停泊する船
最も簡単な場合として、波のない港内に停泊する場合の力の関係を考えてみよう。第2.20図は、静水中で等喫水で浮かぶ船の状態である。このとき・船に働く重力は重心Gを通って下方に向かい、船をささえる浮カは浮心Bを通って上方に向かっていて、この二つの力は同一鉛直線上にあり、大きさは同じで方向が反対であるから、船は釣り合って静止している。
 

第2.20図

 
 
しかし、それでは船の他の部分にはまったく力がかかっていないかというとそうではない。
試みに、船体の横断面について考えてみると、甲板や船底に加わる重力の大きさはその部分の船体や貨物の重さによって変わり、また、水面下の外板に働く水圧力の合力、すなわち、浮力はその部分の水面から下の船の形が大きいほど大きいから横断面の位置によって浮力が勝つところもあれば、重力が勝つところもある。(第2.21図参照)
 
 

第2.21図

 
 
 

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