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漁船はこれによるのが便利であり、また漁船以外の小型鋼船でもこの基準により構造寸法を求めて、JG(日本政府、運輸局)およびNK(日本海事協会)に合格する寸法のチェックとすることができる。
 
1.3 造船用鋼材
 
1.3.1 造船用鋼材の種類
 
造船用の鋼材は、比較的軟かくて粘りがあり、折り曲げても折れず、低温になっても脆くならないものがよい。鋼は鉄と炭素との化合物を主とし、これに極少量のシリコン、マンガン、リン、イオウなどが混入している。造船用鋼材は炭素量0.15〜0.25%の低炭素鋼に属し、この中に一般構造用圧延鋼材(板、平鋼、形鋼、棒鋼)、溶接用圧延鋼材(同上)、鋳鋼、鍜鋼の種別がある。
鋳・鍜鋼材は、普通には造船所から図面によって専門工場に外注される。このように外注のため納期の点などに問題があり、最近では機関台、船尾骨材、船首材、その他が造船所内業による鋼板組立に移行しつつある。
圧延鋼材はこれとは逆に、製鉄所(製鋼所)から、鋼板、形鋼、平鋼、棒鋼の形状で造船所に納入され、造船所内で所要の形状に切断、曲げ、溶接組立てされ、ブロックとなり、これが船台に搭載されて船体構造となる。
鋼構造の組み方とは、これら市販形状(マーケットサイズ)の圧延鋼材を、いかに上手に能率よく組み合わせるかということに尽きるのである。
最近の鋼船はほとんど電気溶接で組立てられるから、溶接を施工したとき溶接欠陥(クラック、ブローホール、材質の劣化など)が生じにくいものがよい。とくにリンおよびイオウの存在は低温脆性(ぜいせい)を起し易いので、厚板ではそれらの含有量を制限する必要がある。鋼材を作るには、平炉、純酸素転炉または電気炉の中に銑鉄と屑鉄とを混ぜて入れ、厚い酸素を吹き込み、銑鉄中の炭素(3〜4%入っている)を燃焼させて溶鋼とし、これを容器に注ぎ込んで冷やして鋼塊とする。この場合余分の酸素を除くために、マンガンで脱酸して作るのをリムド鋼、シリコンまたはアルミニウムによって強制脱酸するのをキルド鋼、中間のものをセミキルド鋼という。リムド鋼は内部に不純物が固まり易く、低温脆性を起し易い。キルド鋼は低温脆性を起しにくいので、厚板の溶接構造に用いて安全であるが、しかし構造費が高くつく欠点がある。使用の目安としては、25?o以上の厚板はキルド鋼、13〜25?oはセミキルド鋼、13?o以下はリムド鋼とする。
軟鋼以上にもっと強度の高い鋼材が要求されることがある。たとえば、小型高速艇または搭載艇のようになるべく板厚を薄くして船体を軽くし、しかも強度を必要とするもの、超大型船
 
 
 
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