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2.2 財務管理
 
2.2.1 一 般
 
技術者というのは、“お金”の問題に弱いとよくいわれている。会社の決算期の決算報告書の貸借対照表、損益計算書、などというと、はじめから“サジ”を投げてしまう人も多い。また自分の会社がどの程度もうけたか、今期は苦しい、などまったく無関心で月給だけもらっていれば俺は満足と割り切っている人も中にはいるものである。これでは困る。
また小造船書では根っから船が好きで、家内工業的な個人営業から始まっている企業も多く、その経理、会計の問題となると、企業と個人の生活費や資産とが混合されやすく、したがって、その計算も全くの“ドンブリ勘定”で建造した船の個々の原価は勿論、全体の収益すらはっきりしていない。
これでは企業の本質はおろか進歩性もなく、その成功の可能性も少ない。結果的には企業の倒産に結び付く可能性も生ずることになる。
まず会計を明白にして、金銭の出入を明確にし経費の区分を明らかにすること、特に事業の資産と事業主個人の資産をはっきり分離して、事業主の貸借を明白にすることである。これによって造船所の経費をはっきりつかむことができる。
経費は流動的なものであるから、ある期間、即ち1ヶ月とか半年とか期末とかで総計してみる、これによって自分の造船所の経費の収費がわかることになる。これらの必要な会計事務全般は、企業の大小によってその組織はさまざまであるが、大中企業では総務部の経理課又は会計課が総括して担当している。
最近、小造船所においても会計事務の必要性を認識し、実態調査によれば“青色申告”を行っている企業は年々増加の傾向にあるが個人企業に属するものでは依然として“青色申告”すら行っていないものが多い結果がでているが残念なことである。
“帳面(ちょうづら)をあわせる”という言葉があるがこれは“ごまかす”ということではなく会計事務を常におこたらず、金銭の収支を明確にすること、が帳面(ちょうづら)をあわせる、ことであることを再確認してほしいものである。
 
2.2.2 財務諸表
 
企業では、通常一年ごとに決算という手続きをとり、どれだけ稼ぎ、どれだけ費用を使い、どれだけ儲けたか、など経営の成績を明らかにします。この結果を報告書の形でまとめたのが決算書類でこれを財務諸表といえる。

 

 

 

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