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付録

 

アルミニウム合金の溶接  

 最近アルミニウム合金の需要が非常に伸びてきたが、船舶においても、上部構造を始めとして、タンクの材科等に広く用いられるようになってきた。従って、アルミニウムの溶接を中心として、一般的性質等も、ここでまとめて述べる。  

 ○アルミニウム合金の一般的性質  

  アルミニウムの合金は比重が2.7前後で鉄の約1/3という軽さであり、鋼と異なり、低温においても材料の強度が落ちない。また合金元素にもよるが、表面に硬い酸化皮膜を作り、乾燥した適当な状態に保たれれば、常に銀白色のきれいな表面を保持するという、すぐれた性質がある。  

  船舶用として使用されるアルミニウム合金は、海水に対して腐食に強い、即ち、耐海水性を要求されるためマグネシウムを合金主元素とするAl(アルミニウム)-Mg(マグネシウム)系の合金である。種類としては、下記の3種類がある。  

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 アルミニウム合金には、溶接に対して、厄介な性質があるのは、融点が600℃前後と比較的低いにもかかわらず、表面についている酸化皮膜が2000℃強という高い溶融点をもっていることである。このことは、酸化皮膜がとり除かれないうちに、その下の母材が先にとけてしまうということで、溶接をうまくやるためには、いかにしてこの酸化皮膜をとり除くかということにある。またアルミニウム合金は、腐食に対しては、水と、他の金属との接触によるものを注意しなければならない。水による腐食としては、表面の硬い酸化皮膜が水により水酸化物になり、ところどころ皮膜が破壊され、白色状の腐食が始まる。接触による腐食とは、鉄や鋼等と接触すると、一種の電池となって、腐食が進行する。従って、鋼船の船体とアルミニウムを直接、結合することはさけなければならない。通常、電気的な絶縁を施したパッキング材を間に入れ、同様に、絶縁塗装したリベット等で結合する。また、コンクリートに直接接触させることもいけない。

 

 

 

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