結果になっている。即ち、ブローホールの発生から考えれば、吸湿量は1.4%以下でなければならないということになる。
一方、割れの方から考えると、実験によると、吸湿量が0.2%以下では、割れは、発生しないが、0.3%をこえると、著しい割れが生じることが判っている。従って割れに関していえば吸湿量は0.2%以下でなければならない。
それでは、棒の吸湿量が0.2%をこえるのは、普通の状態では、何時間経過したときであろうか。一般に日本における相対湿度は80%前後であることが多い。第3・12図にもあるように、相対湿度70%ては6時間後で0.5%〜1.0%、相対湿度100%では6時間後で1.0%〜1.5%という結果になっている。したがって、溶接棒は平常貯蔵庫(貯蔵庫の温度は外気より10℃位高いことが望ましい。)に保管して吸湿を防ぐように配慮しなくてはならない。第3・13図は、棒種と単位は異なるが、常温で放置した場合は、2時間以後、急激に吸収量が増大するという測定結果である。
とくに、低水素系の棒は貯蔵庫から出して12時間からせいぜい4時間以内には使用しなくてはならない。一端、吸湿した棒は再乾燥しなければならないが、この再乾燥を目的としたものに乾燥炉がある。再乾燥は一般に、高温度で乾燥すれば、それだけ、乾燥時間は短かくてよい。例えば300℃では1時間位乾燥しなければならないが、350℃では30分程度で同じ位の乾燥ができる。第3・4表に各温度において、どの位の時間をかければ、再乾燥できるかを示したものを記す。0.2%以下に吸湿量がなる線を太線で示したものである。ここで注意しなければならないのは、それでは、乾燥温度は、高ければ、高い程よいかというと、そうではなく、一般に550℃以上では、フラックスの組成がかわってしまい、かえって溶接には悪い結果となる。従って、最高温度は、通常350℃としている。
第3・13図でもわかるように、乾燥後は、ある程度の高温の貯蔵庫に保っておくことにより、吸湿量の増加を防ぐことができる。従って、乾燥装置とは、別に、電熱器等を入れて、暖めた部屋の中に、溶接棒を置いておき、必要に応じて、所要量を出して、使うことが望ましい。もし、余った棒は貯蔵庫へ返却するのではなく、乾燥炉に戻さなければならない。