では、無負荷、即ち、アークの発生がなく、溶接をしていない状況では、端子間は80V程度の高い電圧になっていて、常にアークが発生しやすいように力を加えているかたちになるが、一端アークが発生すると、25〜30V程度の電圧になり、大電流を流さねばならない。このようなものを垂下特性というが、これを比較のために、一般の家庭用の電源と比べてみよう。
第3・4図は、家庭用の電源が備えていなければならない特性の図であるが、今、アークの代わりに。電灯をつけることを考えてみる。電灯をつげる前には、100V、つけたら50Vというように、電圧が下ったり、また二つつけたら30Vというように、電圧が変化するものであっては、電灯の明るさは、電圧によるものであるだけに、困ったことになる。従って、このような電源としては、定電圧の特性でなければならない。即ち、この図でI1は、電灯が1個の時の電流値となって、電圧は一定であるが、電流が変化する特性を有していなければならない。
それでは、交流アーク溶接用電源として、この定電流垂下特性を持たせるには、どのような回路が考えられるかといえば第3・5図のような3種類が考えられる。
まず、第1のa)の直列抵抗型は交流に対しては、損失が多く、実際的ではない。次にb)の直列リアクタンス型は、我が国では殆んど使われていない。我が国のものは、殆んどc)の漏洩変圧器型である。
漏洩変圧器の構造は、通常の家庭用の変圧器の構造とは、原理は異ならないが、一般の変圧器に比べて。二次側の負荷電圧が大きく変動することや、断続負荷であること等から巻線比や、鉄心等に、適切な設計がされているものである。