5.8 歪に対する処理方法
5.8.1 一般事項
鋼船は熱作業により建造されるので、ある程度の変形や歪の発生は避けられない。歪は機能、強度、外観の何れの面からも好ましくない。
歪に対する処理方法には次の三つがある。
(1)歪防止法 歪の発生しないような設計、工作法を採用する。
(2)拘束法 発生しようとする歪を、拘束して抑制する。
(3)歪除去法 発生した歪を除去する。
一般にいう歪取りは、最も消極的な方法であり、歪防止に主眼を置くべきである。発生した歪は、歪量が累積されないうちに、発生した工程で除去することが基本である。
5.8.2 歪防止法
歪防止には次の事項が一般に有効である。
(1)正しい形の部材を、正しい位置に、正確に取付ける。無理な取付け方をしない。
(2)溶接量を必要最少限にする。指定脚長、正しい開先形状、適する棒径で行なう。
(3)収縮の少ない適切な、取付、溶接順序で施行する。
(4)一個所に熱量を集中させず、平均又は対称に行う。
(5)薄板には、歪防止カーリング、断続溶接等をもちいる。(第5.42図)
(6)継手の自由端に歩ける一部溶接待ちも有効である。(第5.43図)
(7)部材、ブロック等を不用意に置いたり重ねたりするのも歪発生の原因である。