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4.2 完成検査

 完成検査完成検査について定めた基準は、「推進機関を内装する構造となっている船舶」「推進機関を外装する構造となっている船舶」に対する基準の二つに大別されるが、小型船造船業法に基づき登録を行う造船所で建造される輸出船は大部分が 貨物船、漁船、曳船等前者に属する船舶であるので、以下、前者の基準について 述べることにする。

 完成検査は、完成状態における、いわばでき吠えを総合的に検査するもので、 検査も広範囲にわたっており、詳細は省令等を読んで頂くとして、ここでは主要 事項についてのみ触れることにする。

○ 完成寸法、外観等

 主要寸法、一般配置等は、船舶の評価に直接つながるものである。従って、これらが仕様書・設計図通りにできているかどうかを検査することは極めて重要である。また、外観も船体、蟻製品などに著しい変形、傷、さびなどがあってはならず、良く塗装されていることが大切である。また、プロペラ付近 等電食のおそれがある個所には防食亜鉛等で防食することも必要である。

○ 構造

 構造については、製造中の検査で見ていない個所に重点をおいて検査する。 例えば、倉口、出入口等の閉鎖装置の構造、水密性、暴露甲板上の放水口、排水孔、冷蔵倉の防熱構造、諸機器の取付けの状態等が検査される。

○ 性能

 速力は、先にも触れたように船舶の運航上の生命でもあり、これは一般に 契約書で造船所か船主に対して保証している。また、主機関の燃料消費量についても同様なことがいえる。従って・これらの確認も含めて、完成検査においては、速力試験、操舵試験、燃料消費量試験等が海上において総合的に 実施し、性能がチェックされる。

○ 復原性

 復原性については、設計の検査で検討されているが、完成時に傾斜試験、 動揺試験(旅客船についてのみ行う。)を行って、復原性が基準に適合するか どうか再検討する必要がある。傾斜試験の方法等は船舶復原性規則が準用される。

○ 載荷重量

 載荷重量については、速力と同じように造船所が保証するのが普通であり、 完成時におけるこの確認は極めて重要であるので慎重に実施する必要がある。

○ 船内諸設備の配置及び性能

 操舵、排水、居住、揚錨、荷役、救命、消火設備及び航海計器類、船内通信、通風、冷暖

 

 

 

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