発展することもある。(6)ベアリング摩耗損傷
ボールベアリングやローラベアリングなどが摩耗損傷すると円滑に回転できなくなり、異音や発熱を伴い最終的には焼付きに至る。この間は摩耗による軸芯の狂いを生じて軸の曲がりや歯車の噛合いバックラッシュが大きくなり、衝撃音を発生してギヤが摩耗損傷することもある。いずれにしても出力が低下する。
8)オーバーロード
(1)過大負荷、過大作業機
運転中に、その機関が持つ最大出力以上の過大な負荷が加わると、回転が最大トルク付近まで急速に低下し、真黒い排気ガスを出して回転を続けようとする。負荷が大き過ぎる場合は、スピードコントロールレバーを高速側へ一杯に上げても回転が上昇せずに機関が止まってしまうので負荷を軽減しなければならない。また機関性能以上の過大な負荷を吸収できる作業機をセットした場合は、過大負荷が常に加わり易くなり、機関は過負荷運転で常用されるため、運転不能となるか機関事故の発生原因となる。作業機とのセットは性能にマッチングしたものを選択し、常に作業機の負荷が機関の定格出力以下で使用できるように選択することが、事故防止を図る上で、また経済的にも最重要なことである。
(2)軸芯の狂い、曲がり
作業機を含めた軸系の芯出し不良や狂い及び軸の曲がりなどがある場合は、損失馬力が大きくなり作業機や軸系の軸受けに無理な力が加わり発熱や振動を伴う。また機関のクランクジャーナルメタルにも同様な力が加わり摩耗や発熱を伴うほか、クランク軸に大きな曲げ力が働くため、クランクアームのデフレクションが過大となり、クランク軸が折損する。
(3)作業機等の故障
作業機やその駆動軸系に焼付きなどの故障があると、損失馬力が大きくなり、極端な場合は作業機を駆動できず機関停止する。
(4)スタンチューブのグランド締めすぎ
グランドパッキン部は航行中に若干の海水が船内に流入する程度にグランド締付力を調整しなければならないが、締め過ぎると海水の流入は、止まり軸受けの潤滑不能となり、軸との摩擦抵抗が極端に大きくなり、発熱し損失馬力が大きくなると共にグランドパッキンが損耗する。停船中はグランド部からの海水流入を防止するため通常はグランドを締め、航行時に弛めるようにする。
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