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理に押し下げられ、ライナ壁と局部的に、こすり合い、スカッフを生じる。ピストンが急激に膨張して、ライナに張付きを生じて、停止した場合は、自然に冷えるのを待って再び徐々に負荷を上げながら運転を続けることが可能である。この時にブローバイガスが多量に発生し、円滑な回転が得られぬ場合は、ピストンスカッフを起こしているため修理が必要となる。

?ピストンのスカッフと焼付き

小規模な面積でライナ間に焼付きを生じ、摺動により局部的に溶着し、すれ合ったようなものをスカッフと云い、これが広い面積に亘ってライナヘ溶着、停止した場合を焼付きと呼んでいる。いづれも運転時に多量のブローバイガスを発生する。いずれもピストンとライナの摺動摩擦抵抗が増加するので出力が低下する。

(2)ピストンリング膠着

ピストンリングが、リング溝内でカーボン介在、潤滑不良などで、円滑に作動できなくなると、リングが溝内に固着してしまう。これをリングの膠着と云い、これが発生すると、リングによるオイルコントロールはもとより、ガスもれ侵入などを生じ、リング折損、ピストン焼付きに至る。いずれにしても、ブローバイガスが多量に発生し、出力が低下し、最後には運転不能となる。

(3)バルブステイック

シート面へのカーボン噛込み、当り不良、ガイド摩耗による着座不良などにより、カーボンなどがバルブガイドとステムのスキマに介在して熱伝導がさまたげられ、バルブが過熱膨張して、ガイドに固着し摺動できなくなる。これをバルブスティックと呼んでおり、2次的にピストン頂面へのスタンプ、バルブ傘部の溶損、欠損及び折損、ステムの曲がり、突棒の曲がり、カム山やタペットの摩耗損傷などを誘発することがある。バルブスティックを起すと、圧縮不良やガスもれとなるので燃焼不能となり、出力低下は勿論のこと運転不能になる。

(4)ブッシュ焼付き

ピストンピンブッシュ、カム軸ブッシュ、タイミングギヤのブッシュ、その他ブッシュが軸に焼付くと軸と一体となり、ハウジング内で摺動するため、摩擦抵抗が極端に増加して発熱すると共に、大巾に出力が低下する。

(5)メタルスカッフ損傷焼付き

クランクピンやジャーナルメタルと軸のスキマに異物が介在し、メタルを引掻損傷したりスカッフを生じたりする。メタルが摩耗してスキマ過多になると衝撃力が過大となり、メタルスカッフや焼付きを起こすほか極端な場合は曲げ力が作用して、メタル焼付きやクランク折損などの事故に発展することもある。メタルがスカッフしたり焼付くと発熱を伴い出力が低下するほか、ピンメタルの場合は足出しなどの大事故に

 

 

 

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