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(5)過給機の故障

?タービンホイールの汚れ

タービンホイールやケース内にカーボンが付着堆積すると、タービン効率が低下し、回転が減少するので、給気圧力が低下して、出力が減少する。タービンホイール及びケース内を清掃する。タービンホイールの汚れが著しい場合は、長時間スロー運転や燃焼が良くない場合が多いので、燃焼悪化している原因を探求して修復しなければならない。

?シールリングの汚れ

ガスシールリングの溝内にカーボンなどが介在すると摺動抵抗が大きくなり、回転が低下するので給気圧力が減少する。オーバーホールにより清掃が必要である。

?ベアリングの焼付き

ベアリングやスラストベアリングなどが焼付き損傷すると、摺動抵抗が増大して大巾に回転低下するので給気圧力が低下する。総分解整備をしなければならない。

?羽根の変形や曲がり

タービンやコンプレッサホイールの羽根が曲がったり変形すると、効率が低下して給気圧力が減少する。曲りや変形を修正すると、そこから亀裂して飛散し破損することがあるので、修正してはならない。曲がりや変形したブレードは早いうちに交換しなければならない。

?ロータシャフトの曲がり

ボルトナットなどの異物がタービン又はコンプレッサ室内に入ると、ブレード破損、ケースとの干渉などを生じて、ロータシャフトが曲がることがある。シャフトが曲がると円滑な回転ができなくなるので、タービンホイールやコンプレッサホイールが逆に障害となり、機関の運転さえも、できなくなる。このような場合は、過給機を取外し無過給接手に変えて、約50%程度の出力で運転し帰港する。

3)圧縮系統の不良

(1)バルブとシートの摩耗

バルブやシートが摩耗すると圧縮もれを生じ、出力が低下する。摩耗した分だけバルブが沈み、バルブクリアランスが減少するので定期的にバルブクリアランスを調整しなければならない。バルブクリアランスがなくなると、傘部がピストンと干渉して大事故を起こすと共に、シートに着座しなくなるので、ガス吹抜けや熱伝導ができなくなり、バルブは溶損する。バルブの摩耗修理は、シート面をグラインダ又はシートカッタで削り、バルブはリフェーサで研削してあとバルブコンパウンドで摺り合せ、最後に油摺りをして完了す

 

 

 

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