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?計測
工事仕様書(作業標準、整備シート)により各部品の計測を行い記録する。
主要摺動部については、寸法計測結果より、総摩耗量、前回整備以降の摩耗量、偏摩耗あるいは異常摩耗の有無などをチェックし、記録しておくことが大切である。
クランク軸、ピストン、シリンダライナ、連接棒等主要部品の計測箇所については、2・16表〜2・22表に示す。本様式を使用し、各部の寸法を計測・記録し、機関の履歴として保管しておくことが必要である。

?検査(受検)
計測までおわった状態で、必要に応じデータを取りまとめ検査を受ける必要がある。
また、故障による修理部品、あるいは定期検査、中間検査の結果、修理を必要とする部品が、機関の重要部分である場合は、必ず修理前に検査を受け、処置につき指示を受ける必要がある。

?部品交換
点検、計測結果をふまえて、メーカごと、機種ごとに定められた整備基準、修理基準あるいは使用限度基準に照らして、限度を越えている部品については、修理するか新品の部品に交換する。また限度を超えていなくても、損傷、摩耗の程度によっては、次回整備(検査)までの使用条件や使用時間などを考慮して、交換すべきかどうかを判断する必要がある。このような判断が、舶用機関整備士にとって長い経験を必要とする重要なノウハウであり、経験工学といわれているゆえんである。今後は、常にデータベースで判断できるように、機関履歴簿、整備基準などの技術情報の収集、整理が、これからの整備にとって非常に重要となってくる。

(4)修理組立、再組立

修理組立、再組立は分解と同じく、作業標準、整備シート(取扱説明書または整備解説書)にしたがって、適正な工具や専用(特殊)工具を使用し、部品の組忘れ、締め忘れなどの落ちのないことを確認し、摺動部には指定の潤滑油などを塗布し、ゴミに注意しながら一つ一つ確実に組み立てていくことが大切である。
また工事仕様書で、その都度、消し込みをおこなうなど、チェックしながら組み立てていくことも重要である。

(5)調整運転(摺り合せ運転)

組立完了後の調整運転で、しばしばトラブルを起こすことがある。これは始動前のチェックを省略したり怠った結果である。あるいは、摺り合わせ運転の不備によるものである。したがって、十分に組立後のチェックを行い、作業標準にしたがい、調整運転を行うことが大切である。
各部の水漏れ、油もれを調べ、油圧、水圧、冷却水の出具合や各計器の作動を確認

 

 

 

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