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補聴器をつけて何かしゃべっているという声は聞こえるのだけれども、その言葉が聞きとれない、ということがあるかと思います。これはもう、こういうことから起こってくる場合が多いわけです。この、言葉を聞き分ける能力のことを語音弁別能力と言います。例えば、「あ」とか「い」とかいった平仮名一文字ですね、単音節と言いますけれども、単音節を最もその人が聞きやすい音の大きさで聞いてもらって、何点とれるのかということで、測定します。今から、高齢の難聴の方、65才から79才の方と80才以上の方に分けて、家族があるかないか、ということも含めて、言葉を聞き分ける力が齢と共にどう違うのかということを少し見てみたいと思います。
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 上が同居者があるかないかです。こちらが65才から79才の分、こちらが80才以上の分です。この赤でピッピっと書いてあるのが一人暮らしの方、緑の線がついているほうが家族がある方です。そうしますと、家族がある方というのは79才以下の分と、80才以上の分で、確かに低下はしていますけど、あんまり変化は少ないのです。ところが、単身者の方は、それより低下の傾向が大きいのです。また、補聴器をしてるかどうかということは、自ら何らかの難聴であるということに対策をとろうとしているかどうか、ということの一つの指標なのですが、それも「すでにそうしています」という人のほうは変化が小さいのに「補聴器してません」という人は、段々段々音は聞こえても言葉が聞き取れないということが、早く低下
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してきます。もう一つ、仕事を持っているかどうか、ということですけれども、仕事を持っている方のほう、緑のほうですね、その方のほうがやっばり低下が小さいということです。80才を過ぎて、職業を持っているというのはどういうことか、といいますと、多くの場合、たばこ屋さんであるとか、そういう家業を家族の方と一緒にしている、という場合が多いかと思いますけれども、一つの社会的な活動が多いのかどうか、という指標にはなると思います。
 このことから、家族がいて家庭の中にコミュニケーションがあるのかどうか、それから、補聴器など難聴に対しての対策をとっているかどうか、

 

 

 

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