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なっていらっしゃらないのです。このことは、齢と共に徐々に難聴が進んで来ますので、本人が難聴に気づくというよりもむしろ、家族の方のほうが早く気づかれたり、或いはその問題を深刻に受け止めたりされる場合が多いからではないか、と思います。早い話が、「最近おじいちゃんに大きな声で話しないと、どうも通じないことが多いから、いっぺん見てください」というような形でお見えになる方が、わりと多いのです。ただ、これを見てみますと、単身生活をしていらして「もうすでに補聴器使ってます」という人でも60デシベル台になると、相談に見える方が多いというこ  とを見てみますと、何らかの公的な援助というものが必要なのではないか、ということなのです。今、身体障害の福祉法では、両耳が70デシベル、だからこれよりもう一つ悪いレベルですね、という人たちを身体障害者ということで認定をして、何らかの援助をしていきましょう、ということが一つの基準になっています。けれども、こういう資料を見ますと、もう少し軽い難聴の方が、日常生活上の困難場面というのを、もう持っていらしゃるということが見てとれるわけなのです。
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難聴の自覚というものは、先の高岡さんのお話でもないですけれど、一人一人の社会的な活動がどうか、ということとも関連があるようです。
 それで次に、仕事を持っていらっしゃる・・・、高齢の方で仕事を持っていらっしゃる方とそうでない方を見てみますと、大体、仕事を持っていらっしゃる方は軽度の40デシベル台位から来所する方が増えてくるのです。結局、社会的な活動が多ければ多いほど、難聴そのものは軽くてもハンディキャップは大きくなってくる、ということだと思います。今まで見てきたことから申しますと、先程とも重複しますけれども、70デシベルをこえないと身体障害としての援助がない、というのでは基準としてはいささか厳しいのではないか、と思います。本来なら聴力が重かろうと軽かろうと、ハンデイキャップをおぽえた時点で、何らかの公的なサービスというものが受けられるべきだ、というのが本来だと思いますけれども、そこまで行かなかったとしても、せめて60デシベルをこえたら補聴器なりなんなりを交付の対象にするというのが、必要なのではないかな、というふうにこういう資料から考えられるわけです。
 ここからは、高齢難聴者のリハビリテーションということに関連した資料を、いくつか報告したいと思います。先ず、これはもう皆さん、多くの
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方、体験していらっしゃるから、おわかりのことと思いますけれども、難聴になるということは、先ず小さな音が段々聞こえなくなる、ということがありますね。それからもう一つは、これが大事なのですけれども、大きな音が聞こえても、聞き分けたり聞き取ったりという働きそのものが、段々低下してまいります。特に高齢の難聴の方というのはこういう傾向が強いのです。そのために、 

 

 

 

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