歳を越えた高齢者が、20万人を越えるんではないかという説があります。私の所属している全国老人クラブの連合会の役員の平均年令は、84歳です。役員の中には90歳を越えた方が数人いて、一人で飛行機に乗ってスタスタと理事会に出てきます。ものすごくお元気な高齢者の方が増えてきているように思います。
高齢者問題を理解する二つ目のポイントは、様々な障害を持って生きる世代ということではないかなと思います。高齢者の大多数は診察券を何枚か持っていらっしゃいます。いくつかの病気を持っていらっしゃいます。老人クラブの会員の中には、程度の軽い難聴の方が大勢いらっしゃいます。補聴器を一人で4つも5つも持っている方が、沢山いらっしゃいます。その他、足の不自由な方、目が少し見えなくなった方。結局人間が歳を取るということは、様々な病気や障害をいくつか持って、それと付き合って生きるということではないかなあと思いますので、難聴の今日お集まりの皆様も、当然その高齢者の一員なんですけれども、様々な障害を持った高齢者が、お互いにどういうふうに理解し合って生きていくかという問題だなあというふうに思います。
高齢者を理解する3つ目のポイントは、高齢者とか老人と言って、高齢者の方を十把一からげにして、一律に議論してはいけないというふうに思います。私は60歳から100歳までの40年間は第二の現役なんではないのかなと思うのです。だいたい10歳きざみくらいで、健康の度合いや社会生活は全然変わってくると思います。60代位は、第二の思春期ではないかと恩います。というのは、自分が定年になったら、あとどうやって生きたらよいのか。自分の老後の暮しをどうしたらいいのか。迷う時期が大体60代ではないかと思うのです。70代になると、比較的健康で新しい老後生活のスタイルが見つかって、元気にいきいきと活動されている方が非常に多い。老人クラブの中では70代は若者世代です。80歳位になると大体老人になったのかなあという感じがします。
総務庁の調査結果では、日本人で今老人を意識
する平均年令は、75歳前後です。ですから60歳になった時に、老人クラブが会員になりませんかと誘いに行くと、大概の方は怒ります。60代の方は老人とまだ誰も思っていませんので、今、進んだ老人クラブから、「老人クラブ」という名を変える所が出てきました。「高年クラブ」とか「シニアクラプ」というのがあちこちに生まれ始めました。
もう一つ高齢者を見てて思いますことは、今まで老人クラブ活動は大部分、明治大正世代の方が切り開いて来ました。明治大正世代の方は、教育勅語で人格形成をされて、戦争を直接体験していました。老人クラブはまるで軍隊みたいに統制が取れていました。ところが、今年は60歳代の方は、オール昭和世代です。昭和の方々は、戦後の安保とか、労働組合運動とか、平和運動で赤旗を担いで飛び回った世代の方々が、いよいよ老人の仲間入りを始めました。考え方や生活体験が全然違います。老人クラブの中でも、なかなかうまくまとまれなくなってきました。そこで最近老人クラブの中では、青年部を作るのが流行りになってきました。
難聴の皆さんの団体でも、会員の皆さんが長寿で隼齢幅が広がっていくと、もしかすると、皆さんの高年部会でも青年部を作るかも知れませんが、つまり、老人とか高齢者って、一まとめにできなくなってきた。ですから高齢者の暮しの中で、耳の不自由な方もいれば、目の不自由な方もいれば、歩くのが困難な人もいれば、非常に多様化してきました。老人クラブの中で、例えばウォーキング、散歩をする時にも最近は60代70代の元気な人がスピードを上げて歩くウォーキングと、80過