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あると、言っておられます。
 そこで、そのためには先ず経済的に自立しなくてはならないのですが、今の基礎年金、あるいは特別介護手当では、最低限の生活しかできません。少しずつ生活を良くしていくためには、少しずつ社会に出て、そして、少しずでものお金でよいから、収入を得る方法を考えていかなくちゃいけないと思います。
 それから、親からの自立という事も必要なんです。親御さんも、こんな子供ができたのも自分の貴任だという気持ちをお持ちです。だから、子供を一人の人間として見ず、障害児としか見ていない。親の子ばなれ、子の親ばなれが大切です。
 それから、施設からの自立が大切です。現在の多くの施設は管理する立場を取っています。ですから、障害者の人格を認め、本人の自立生活への自覚を持って頂きたいと思います。
 それから、社会からの自立が大切です。往々にして何かしてもらって当り前、物を貰って当り前という感覚が、どうしてもあることは否定できません。それを社会で生きることは、してもらうだけではなくて、自分のできることを人にもしてあげる。先程の女性の話ですけれども、彼女の場合、まさにその例ですが、このような行動の積み重ねにより人間の値打ちが変わってくると思います。

5.福祉用具の開発と支給サービスは、自立生活にとってきわめて重要。地域で自立生活をするためにはいろんな身の周りの福祉用具が必要となってきます。例えば、顎でコントロールできる電動車椅子。脳の障害によつて、言葉と手足の機能を全て失った方ですが顎を動かすことによって、文字版を見ながら文字を取出せこれでもってコミュニケーションできます。
 この方は、非常に重度のリュウマチでありますが、このような環境をコントロールできる機械を使う事によって、電話をかけたり、玄関のドアを開けて外へ出て行ったりすることができるわけです。ですからこういった福祉用具の開発を行い専門職よる支給できるセンターをどこかに作っていかねばなりません。
 スウェーデンのストックホルムのテクノエイドセンターですがそこのリーダーさんは、実は障害を持った人達本人です。その人が二一ズを聞いて皆に相談している。ここにあらゆる障害を持った人達が来ているわけです。この障害を持った人達が、次に来る障害を持った人達の相談にのる。これをピァーカウンセリングと呼んでいますが、こういう機能をもっていくことが大切です。同じ障害を持った人でないと、障害者の本当の悩みがよくわからないのが普通です。
 もう一つは、障害を持った人達はもっと消費者としての活動をして頂きたいのです。例えば、日本で健康福祉展とか、いろんな展示会があります。神戸でもやりますし、東京でもいっぱいやるのですが、障害を持った人達の姿が海外の展示会に比較して非常に少ない。イギリスとかドイツに行きますと、障害を持った人達で溢れ返っています。障害を持つ人々が実際に色々な軍椅子に乗ってテストしている。障害を持った子供達も来て、いろんなものを使ってみて、そして、消費者としての意見を出す。この社会参加が福祉用具の業界を育てるわけです。そして本当に障害者の二一ズに合う仕事ができるわけですね。消費者である障害を持った人達が、いかに積極的に参加し働きかける事によって世の中を温かい方向に変えていく事ができるかという事を、私は申し上げたいのです。

6.福祉のまちづくりは、社会参加への基礎
街が、障害を持った人がはたして住みやすい街かと言うと、決してそうではない。車椅子や目の不自由な人にとって大変歩きにくいまちなのです。
 兵庫県では、そこで「福祉のまちづくり条例」を全国に先駆けて、平成4年に制定いたしました。そして、建物の耐数を基本に車椅子のトイレとかエレベーターがなっかたらいけないとか、玄関の戸の巾やスローブの角度など決定があり建設省の方でハートビル法というものができ兵庫県との間の整合性をはかり今回改正することになりました。皆さんが住んでいる街の100m似上の面積のある診療所とか、理髪店とか、あるいは皆さんが集まる集会所とかは必ず誰でもが行けるように考え

 

 

 

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