日本財団 図書館


理念の変化、リハビリテーションの考え方、そしてノーマライゼーションの理念の変化、この三つの変化が最近の大きな動きと思われますのでそういったことを中心に今からお話申し上げたいと思います。
 リハビリテーションというのは、例えば今、巨人の桑田選手が肘を痛めて、「一生懸命リハビリやっています」という話が1でます。これは私のセンターの病院の中にある運動訓練室です。これを理学療法と言いまして、寝たきりの人を起こすために、こういった訓練を一生懸命しております。これを理学療法といいます。これはリュウマチの方ですけれども、手が言うことをきかなくて、ここで一生懸命手の訓練をしておられる。こういったいろんな作業を通じて、社会に参加する目的をさぐる訓練、これを作業療法と呼んでおります。もう一つの大きな柱としては、脳卒中なんかで言葉を失った人、あるいは脳性麻癖なんかで、初めから言葉が出ない人に対して、言語治療というものをやっております。
 リハビリテーションというのは、以上のように機能訓練というふうに、最近まで言われておりますが、どうもそうじゃなくて、名誉の回復、人権の回復といった意味があります。政治家あるいは犯罪者でも、例えば、小平さんが、一時的に中国の中で、表に出なかった事があります。しかし、その後、名誉の回復をしまして、もう一回表舞台に出た時に、リハビリテーションという言葉を使ったんです。こういうふうに、一人の人間としての権利とか名誉とかを回復する、いったん失った権利を回復すること。つまり、障害を持っていても人剛こは変わりないんだという考え方の中で、一人の人間として生きていく権利は誰だってあるんだという気持ち、つまり全人間的回復権、これがリハビリテーションを表す最も適切な言葉であります。
 その実現のためには、単に治療だけでなく社会がよくなくちゃいけないし、仕事もよくやっていかなくちゃいけないし、社会的環境もよくしていかなくちゃいけない。だから、医療、社会、教育、職業、全部含めた意味において、総合的にリハビリテーションをやっていかなくちゃいけない。だから私共のセンターは、病院があり、職業を訓練する場所があり、相談をする場所があり、しばらくそこで自立生活するための訓練する場所をもつ、総合的な施設にしております。
 それだけではいけません。今度は地域社会を変えていかねばなりません。できるだけ多くの駅にエレベーターを付けたり、できるだけ車椅子の走りやすい街づくりをしていかなければならない。

3.地域リハビリテーシヨンとそれを支える活動。
もう一つは地域のリハビリテーションという言葉がありますが、私どもは地域のリハビリテーションを、障害を持つ人々やお年寄りが住み慣れた所で、そこに住む人々とともに一生安全にいきいきとした生活が送れるよう、医療や保健や福祉及び生活に関わるあらゆる人々が行なう活動の全てをいう、と考えております。
 障害をもつ人々の二一ズに対応するには、できるだけすばやく対応しなければなりません。役所の申請主義のように、ハンコ持って役所に行ってからスタートするなんて状態ではいけません。そして包括的継続的にサービスが行われなくてはいけません。
../images/045-1.gif
 このように地域の中で介護を要する障害をもつ人々が継続して安心して生活をおくるにはこの表に示しましたように、先ず、○市町村の長が、しっかりした考えをもっていなくてはならない。それから、@システムとネットワークの形成。特に保健・医療・福祉がバラバラで仕事をしていたんじゃあ、駄目です。それから、地域のボランテイアの方々と一緒になって、◎街作りを考えていか

 

 

 

前ページ  目次  次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION