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んにお願いします。
 山口さんは震災時に全国難聴協会の副理事長として対策本部を設置されて先頭に立って被災地へ的確な情報を送り続けられたという事で支部の方では非常に皆さん喜んでいらっしゃいます。その山口さんに情報をどの様に整理をして、どの様にしてお送りになったのかという事をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

山口/前ロールを10分間分、きっちりと用意していたのですけれど、時間がなくなってきましたので、申し訳ないですけれども簡単にポイントを話したいと思います。
 ボランテイア活動をやった経験をもとに話しますけれども、今度の震災でボランテイアの活動は、大変評価されました。しかし実際にボランティアの仕事が効果的であったか、というと疑問があると思っています。必要なところに必要な情報を届ける、必要とする人に必要な支援を、という活動をやるためには、情報が必要だった。こういう活動をコーディネートするような核になる情報提供施設が、私は必要だったと思っています。
 先程から宝塚市の市長は近代都市の脆さを言っておられました。坂川さんのお話では、淡路島ではライフラインの壊れたことは、あんまり深刻ではなかった、と発言されていました。農村的なところには、自給自足的な面、地域共同体的な連携がまだ残っていたわけです。地域共同体的な性格が残っていたと思います。隣が助け合うということが、都市に比べると沢山あった。水洗トイレは水が止まると、もう使えなかったわけですけれども、汲み取りトイレであれば1か月ぐらいはもった。地下鉄なんていうものは、もともと無くて生活が出来ていた。水道が止まっても井戸がある程度保管出来た、というようなことです。しかしこれから先、都市化は避けられないと思います。
 先程から、地域での活動に加わっていくことを、地域の人に理解を求めていくことが大事だということが言われていました。そのことは基本として大事ですけれども、現実的に都会では隣の人はどんどん変わっていく。1か月経てば、極端な場合には、近所が皆違う人になった、ということもあるわけです。ニノミヤさんのお話にありましたけれども、難聴者が友人関係を作るのには、普通の人よりも沢山の時間がかかる。そういう点からいきますと、現在の都市の中で難聴者が地域の中で、そういう支援関係を結ぶのは非常に難しいと思います。それをカバーするものとして、難聴者同士のネット化、それを結びつけるものとして、情報提供施設を作っていく必要があると思います。
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 効果的な活動、どこに難聴者がいるのか、この確認が大変でした。ところがそういうデータが現在は全くありません。手帳のデータというのは、手帳を発行した時のデータであって、10年経っても20年経っても同じままで、あのデータをもとに、私たちが難聴者に関する案内を送ったことがあるのですけれども、20%ぐらいの人からは宛先不明で返って来ました。現在官庁にあるのはそういうデータです。これは役に立たない。耳が聞こえなくなった時に、大抵の人はお医者さんで聴力検査を受けたり、補聴器店で聴力検査を受けます。そのデータを情報提供施設に集める。そしてデータベースを作っておく。そうすればある程度、難聴者がどこにいるか、どういうところにいるか、ということが分かってきます。色々な生活相談とかのデータも、学校のデータも、聞こえないことに関するデータを貴任のある聴力障害者の専門施設にまとめておく、ということが大事だと思います。この場合に、プライバシーをどこまで問題にするかは、これは難聴者側の意志であって、難聴者が信頼出来る情報提供施設、難聴者のために役に立つ惰報提供施設を各地に作っておかないとだめです。
 今度の阪神震災で、私たちが働きかけた難聴者の数は、恐らく千分の1ぐらいです。阪神の震災で私たちが支援した難聴者は千分の1ぐらい。全

 

 

 

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