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処置…東灘区/芦屋市両災害対策本部に問い合わせた結果、どちらも緊急対応は無理とのことで、大阪の耳鼻科医院を紹介して直ぐに受診してもらった。
(2)「85歳の老人ですが、補聴器を地震で無くしてしまった。買ったばかりで困っている。市役所に相談したら手帳を申請して下さいと言われた。寿手帳では補聴器を貰えないので貰える方法はないか」(神戸市長田区)「身障手帳1−3です。家が全壊して今避難所にいる。年齢は45歳補聴器を無くして困っている。対策本部で斡旋してもらえないか。」(宝塚市) 補聴器が地震で壊れたので修理して貰いたい。安く修理して貰える補聴器屋を紹介してほしい。」(西宮市)
処置…○手帳所持者の方には「厚生大臣指示による補聴器の緊急交付」の事を説明し、手帳を持って市役所又は区役所の災害対策本部に行って相談するよう回答をした。○高齢者の方には寿手帳による補聴器の交付はないので、現地対策本部に全国から寄せられた寄付の補聴器がありますので取りにきてもらった。遠方の方で来るのが無理な方には業者の理解を求めて、300台のメーカ協議会救援寄贈の補聴器の活用と、商品の格安頒布又は修理を依頼した。○手帳の申請方法を説明し、身体障害者福祉法の指定医を紹介した。
3 避難所の放送が全く分からない。職員に尋ねても「その担当者でないと分からない」と言うばかり。用件を知らないで後回しになってしまいがち。貼り紙を見ても行政の通達事項ばかり。マイク放送の時何か分かる方法はないか。(東灘区)
処置…第二次支援活動の際、避難所の責任者に直接、難聴者の聞こえの特徴や補聴器の概要を記したチラシを渡し、高齢者や難聴者(ろうあ者を含む)の聞こえの保障にも配慮してほしい旨要望をした。
 各市の対策本部に対しても、現地対策本部長より、学校や公民館等の公的施設のFAX機器を難聴者等の通信に開放するよう要望した。この文字による情報の表示は難聴者だけでなく健常者からもよろこばれた。
4 ○「避難所の難聴者ですが、実は病弱であまり出歩けない。避難所の貼り紙で補聴器の給付のことを見たが、補聴器店までとても行けない。店員が対策本部の方が補聴器を持ってきていただくことは出来ないか。ボランティアの学生さんにお願いしたら本人でないとだめと言われました。」
○在宅の老人夫婦、避難所の連絡板には補聴器の給付のことがありましたが自宅は半壊ですが家に居ます。二人とも出歩けないので、ヘルパーさんに来ていただいていますので、市にお願いしましたが高齢福祉の方では「補聴器のことは分からない」とのことでした。手帳のことも聞きましたのですが、なんとかなりませんか。避難所の方には色々情報が入っているみたいですが、私等は後で友人や他の人から聞いて知りました。もっと在宅の人にも情報を流して下さい。
処置…第三次支援活動の際、(各避難所の)病気、高齢、障害等の為に外出出来ない難聴者の状況を調べて、兵庫県リハビリセンターを中心とする看護婦PT,OT,ST、からなるボランテイアの「医療巡回チーム」の協力を得て、補聴器メーカー協議会、販売店協会等から寄贈の救援用補聴器等を活用して必要な補聴器の貸与を行った。又在宅の方で民生委員や各市の福祉課から連絡のあった高齢者や障害者の難聴者の検診にも対処して頂いた。
3 支援活動の浮かび上がってきたと感じたことは大きく分けて次の三点であろうと思います。
(1)聴覚障害者を始めとする障害者や高齢者の弱者の所在や配慮への視点が殆どなされていない。今後は普段から弱者への対処を考えた福祉ネットワーク作りが急がれる。

 

 

 

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