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住民の確認ができたそうです。
 また地元消防団員の迅速な行動によって出火も未然に防がれたそうです。平日勤務のため、週末の土曜日曜の日中に淡路北部の被害状況、一部会員の被災状況等を車で見て回り、その見た結果を震災よりほぼ一週間後に初めて事務局へFAX報告しました。
 初めにどこから手を付けたらいいのか、取りあえず淡路の全会員の安否を確認しなければと焦りを感じておりました時に、宝塚の災害対策本部からFAXで転送頂いた全難聴からの「被災者が活用出来る制度」(災害救助法)の資料は有難い情報提供でした。
 対策本部をその時ほど心強く頼りに感じた事はございません。早速整理コピーしてそれを必要な被災者に手渡したりして役立たせて頂きました。被災会員には大いに喜ばれました。その後対策本部からの再々の支援活動要請を受けて、代表の私と比較的被災が軽かった地元の要約筆記会員数名と共に、淡路北部を中心に避難所を巡回して被災難聴者の確認と見舞いを何回か行いました。神戸市、芦屋市、西宮市には近隣府県から難聴者協会の方々や要約筆記者が救援に駆けつけたそうですが、淡路は海を隔てていて、鉄道施設、港湾施設等の破壊もあつて時間もかかることもあり、地元だけで頑張りました。避難所では救援のビラを貼ったり、難聴者を見かけては声をかけていきました。
 地震で補聴器を破損した難聴者がいないかと再び避難所を巡回しました時に、自分は今まで補聴器を付けた事はないが、頂けるなら補聴器が欲しいという高齢難聴者がいて対応に困りました。「補聴器使用者で」という条件に合うか、合わないか照らし合わせてその場で該当せずと判断し、日常使用していた補聴器が地震のため紛失又は破損した難聴者に限って援助しました。補聴器をつけたこともない高齢難聴者が現実にいることを私自身その場で強く認識させられ、後からこの様な難聴者にも補聴器を与えられたら良かったなと今でも残念に思っています。
 そして震災より3ヵ月後の4月に仮設住宅が応急建設される頃には避難所も解除されてきましたので、それを機に救援活動をほぼ終了としました。阪神地区の避難所では難聴者が行列で救援物資を貰い損ねたと言うような話を伝え聞き、心を痛めています。淡路では当たり前の事として足りない物をお互いに譲り合っていたと聞いています。
 またライフラインの断絶は淡路では阪神より深刻には聞かれませんでした。
 また救援活動がほとんど終わりかけた時、ある篤志の要約筆記サークルがラジオ放送から聞き取り書き残してくれた生活情報誌を閲覧して少なからずショックを受けました。耳の聞こえる人と聞こえない人との得られる情報量の余りにも大きな格差。私は救援活動で外を動き回る事に夢中でしたので、ラジオ放送の内容まで知る余裕がなかったのですが、これからはこの様なことがあってはならないと強く感じました。ラジオ情報もテレピに劣らず重要な情報を持っているので、それを全国各地の要約筆記者が聞き取り書き取りして要約して頂いた内容を被災地の障害者にフイードバックして提供するような協力体制を大災害時に発揮してほしいと考えます。毎日の生活情報の要約をFAXで流してほしいと思いました。そうすれば難聴者にどれだけ喜んで頂けたかと振り仰いでおります。
 以上淡路の一対策委員として救援活動体験から学んだ事をまとめてみます。
1 地震災害対策本部の早期設置のお陰で指示に従い地元の救援活動に専念できた。
2 大災害時には本部と支部間で情報ネットワーク(FAXなど)により「被災者が活用できる制度」などの有用な情報を可能な限り早期提供して欲しい。
3 難聴者でも日頃から隣近所とコミを深めておくことが望ましい。
4 救援物資の補聴器、電池等は豊富に有るほうが望ましい。
5 大災害時には情報の保障は生存の保障に直結しますので、難聴者を含めた全ての障害者への情報の早期提供ならびに情報の保障を切実に求めます。特に難聴者として文字放送の充実を

 

 

 

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