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すが、またタイプを打ってその人にFAXか電光板で、電話機に電光板がついているので読めるのです。ですからそれは聞こえの保障として公衆電話でも使える。少なくともそういう耳の不自由な人が使える電話機は公衆の場、公民館だとか、体育館だとか、あるいはこういうソリオだとか、緊急時に人々が避難する所には必ず置いておくということがこれからの安全である権利の一つになってくると思います。福祉のネットワーク、耳の聞こえない人に対してどうすればよいかということを一般の人がよく知らない場合があります。そういう時にはどうすればよいかというようなマニュアルをつくっておくことです。
 今度の震災でみんなが分からなかったのは緊急時のマニュアルがなかったのです。外国からの援助を断った、あれは断ったのではないのです。外国からの援助、緊急時でも検疫にかけて、検査して1週間経たないと輸入できないとか、緊急時のマニュアルがないのです。緊急時でも普通のマニュアルを使ったから間に合わないのです。お医者さんが来たいとある国から電話がありました。私も間に入っていましたが、日本では医師免許を持っていなければ医療行為が出来ないのです。だからいりませんと、これはマニュアルどおりです。本当は緊急時には入れてもよかったのです。ですからそういうような緊急用の医療や福祉のサービスのマニュアルをつくる、それからボランティアの方々に聞こえの保障ということも教えながら、どういうコミュニケーションをしたらいいのか、どういう配慮をしたらいいのか、マニュアルで教えて行かなければならない、出来ればこういう教えは普段のボランテイア行政の中できちんと入れ  て行かなければならない、それだけでも足りないので、マニュアルの中に安全である権利の中でそれをぴしっと入れておく必要があると思うのです。
 三番目には選択をする権利です。私達はコミュニケーションする時に補聴器を使うのか、手話をするのか、口話をするのか、筆談をするのか、選択をする権利がある。ということは口話をするか、手話をするか、筆談をするか、あるいは補聴器を使うかを自分が選択をする、そしてそのサービス全てを保障するという基本がなければいけないのです。
 最後の四番目というのは意見を述べる権利です。これは生産者あるいはサーピスの提供者だけが全ての政策をつくっていったり、ものを決めるのではなく、消費者自身がそこで意見を言う権利があるというこです。ですからもし聴覚障書に関することであれは、聴覚障害を持っている方が必ず委員に入らなければならない、まちづくりの中に聴覚障害をお持ちの方が必ずいなければ、本当のまちづくりにはならないのです。そういう四つの権利があります。
 そういうことを考えてみますと、私達が震災で体験したことは、一つは情報不足、これがストレスを生んだし、耳の不自由な方々に対して非常に失礼なことがずいぶん起きました。二番目は会話の不成立、一生懸命会話をするのです、手話ができなければ筆談で。でも筆談というのは言いたいことを凝縮しますので、思うように全部伝わらないのです。人間というのは感情を声でよく伝えます。例えば音を少し高く「おはようございます」と言いますと明るい声なのです。低くすると暗いのです。このように明るい声と暗い声があります。私達は無意識で明るい声を使ったり、暗い声を使  ったり、優しい声、こわい声、声で相手に感情を出しているのです。けれども筆談にしますと感情が伝わらないのです。
 私は大きな失敗をしたことがあります。これはジャマイカという国で国際的な大きな会議がありました。障害者に関する会議です。私はタイ国の聴覚障害者の会長と話をしておりました。私の友達なのです。マンファという女性でした。ジュネーブの国連の障害に関する会議に私はマンファに行ってもらいたかったのです。というのはその会議では車椅子の人、目の不自由な人が行くのですが、耳の不自由な人が参加していなかったのです。私はタイの聴覚障害者の会長のマンファに「お願いだからジュネーブに行って会議に出て、聴覚障害者の人の立場で話してほしい」とお願いしました。ところがその失敗というのは、この会議は1週間ありましたが私は事務局をしていまして、私

 

 

 

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