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保障問題につきましてご研究を頂き、ご指導を頂いております先生方など、大変幅の広いご参加を賜っております。本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。
 なお主管者といたしまして、会場における聞こえの保障、準備などにつきましては意を注いだつもりでございますが、不行き届きの点はお許し頂きたいと思います。そして、今日、明日と2日にわたるこのシンポジウムを最高に生かして頂きまして、実りあるものにして頂きますようお願い申し上げまして、誠に簡単でございますが開会のご挨拶とさせて頂きます。本当にありがとうございました。

川野/続きまして、主催者あいさつ、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会理事長高岡正が申し上げます。

高岡/高齢化社会シンポジウムの開会にあたって1年10ヵ月前の1月17日に起きました阪神・淡路大震災の被災者の中には、まだ十分に癒されることのない方が大勢いらっしゃいます。自然の猛威の前には私たちのなしうることはあまりにも小さいことは自明ですが、その発生後の対応には人智を尽くさねばなりません。阪神淡路大震災の貴重な教訓を社会に十分に生かしていくことは、犠牲者に対する私たちの崇高な貴任であると考えます。
 このことに関しまして、超高齢化社会における「聞こえの保障」の対応はまだまだ不十分であると言わざるを得ません。70歳を越えますと2人に1人は難聴になり、全国で600万人もの難聴者がいる「難聴化社会」対策の遅れに警鐘をならしたのはちょうど3年前の朝日新聞の社説でございました。
 その後、全難聴は全力を挙げてこの問題に取り組みました。昨年は全国要約筆記問題研究集会で、緊急災書時における情報保障問題を集中的に論議し、各地でも活発な論議が行われました。情報化社会の中におけるテレビの重要性に鑑み、全難聴は年初から字幕放送を拡充する国会請願署名運動を全国的に展開し、衆・参両院で採択されました。また郵政省の「視聴覚障害者専門放送システムに関する調査研究会」、「高齢者・身体障害者の社会参加支援のための通信技術の利用に関する調査研究会」の委 員として高齢化社会における「聞こえの問題」を大きくアピールしました。今秋、補聴器ガイドブックを作成し、全国の更生相談所、補聴器店に配布したところでございますす。全難聴会長研修会でも、全国老人クラブ連合会の鈴木五郎事務局長様をお迎えして、高齢者問題を研修いたしました。
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 こうした中で、平成7年度の「障害者白書」には、情報・文化のバリアーの中で中途失聴者・難聴者には特別な対応が必要なことが盛り込まれ、郵政省は字幕放送が全国で視聴出来るような法改正の準備や、平成9年度予算概算要求に字幕製作費の補助として一般会計から2億円を要求しております。各協会の取り組みでも、行政の市区町村 への権限委譲とあわせて、地域コミュニテイにおける中途失聴・難聴者への理解をすすめることの重要性が出されております。
 しかし、高齢化社会対策の中に、難聴化社会対策が十分に盛り込まれたとはいいがたい状況でございます。補聴器の販売も急速に増大していますが、その販売方法が本当に難聴者の立場に立って行われているかどうか、まだまだ不十分であると思います。幾つかの機器メーカーが文字通信機、音声文字変換装置の開発に乗り出そうと致しましたが、採算がとれないとして、どこも断念しています。
 今回のシンポジウムで、高齢化社会における聞こえの問題を多角的に論議し、社会に反映させることがいま必要でございます。
 開催にご支援頂きました日本財団に厚くお礼申し上げるとともに、厚生省、兵庫県、宝塚市、その他多くの専門家、関係者の方々にご協力を頂き

 

 

 

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