
水辺に生育するギシギシ類、ネズミムギ属などの大部分の種は好窒素性植物であり、しかも帰化植物であることが多い、河川敷にこれらの種類が繁茂していれば、そこの流水が富栄養化、すなわち汚れていることを示す。一般的に、在来の植物の生育環境が破壊された場合に帰化植物の侵攻を受けやすいが、河川敷では生活排水などの流入がアレチウリ、オオブタクサなどの帰化植物に有利に作用する場合が多い。 河川下流部の流水辺や小河川や灌概用水路の岸部または富栄養水に侵される泥土堆積地にしばしば多年生広葉草本のギシギシ類が優占する。ナガバギシギシーギシギシ群集はギシギシが優占種となり、ナガバギシギシ、アレテギシギシ、エゾノギシギシが混生し、河水の富栄養化で群落域を広げる。この群落はヨーロッパと共通のオオバコクラスに所属する。
ヨモギクラス(河川敷および路傍植物群落)
ヨモギオーダー チカラシバーヨモギ群団 ユウガギクーヨモギ群集(標徴種:ユウガギク分布:東北〜中部) カナムグラーヤブカラシ群団 アキノノゲシーカナムグラ群集(標徴種:カナムグラ分布:全国) ハナウド群集(標徴種:ハナウド分布:関東〜九州)
オオパコクラス(路上、冠水地多年生植物群落)
オオバコオーダー カモジグサーギシギシ群団 ナガバギシギシーギシギシ群集(標徴種:ナガバギシギシ、アレテギシギシ、エゾノギシギシ、ウシハコベ分布:全国) ミゾカクシーオオジシバリ群集(標徴種:ミゾカクシ、オオジシバリ、ムラサキサギゴケ、ノチドメ分布:全国)
11)水際の1年生草本植物群落
不安定な河床部において、ギシギシ群落の生育地よりさらに水際には、1年生草本植物のタデ属、センダングサ属、イヌビエ属、イヌガラシ属、キンポウゲ属などが出現する。ヤナギタデが優占する群落にアキノウナギツカミーヤナギタデ群集とオオクサキビーヤナギタデ群集が記載されており、前者が河川の上流から中流域にかけて不安定な礫質河床部に発達するのに対し、後者では土壌が泥質で富栄養化した場所に生育している。さらに円礫に粗砂が混在し、乾湿の変動が激しい礫質河床部にアキノエノコログサーコセンダングサ群集が生育している。また、栄養塩類に富む不安定立地
前ページ 目次へ 次ページ
|

|