
礫地に深く根を下ろして群落の拡大のための根拠地を確保している。 ススキとオギは同属のイネ科植物で外形は互いによく似ているが、それらの生育地を比べると多くの異なる点がみられる。ススキは上流域の河原に多いのに体し、オギは土砂が常に堆積する中流部の中州などに繁茂する。オギは地中に長い地下茎を伸ばして連続した群落を形成するが、地下茎の短いススキはこのような性質をもたず、土砂の埋没に弱い。したがって中流から下流にかけて、河川敷にススキをみることは稀である。オギと同様に、ツルヨシ、クサヨシなども、洪水によって横倒しになった茎の節からの出芽は容易である。 ハナムグラーオギ群集はオギ、ヨシが主な構成種であるが、ノウルツ、ハナムグラ、ノカラマツ、アリアケスミレなど沖積地特有の種群で特徴づけられる。この群落は、利根川き中流部の氾濫原と淀川水系に分布し、とくに渡良瀬川合流部によく発達している。生育地の土壌は細砂が厚く堆積し適潤状態にある。これに対し、オギ群集は河川中流部の高木敷にあってしばしば火入れなどの管理の影響を受ける植分が多く、前述の群落に比べ種類は一般的に少ない。土壌は砂質で礫をあまり含まないため、立地が乾燥すると低木が侵入しやすい。この群集の分布域は全国に及びきわめて広い。 セリ-クサヨシ群集はクサヨシを優占種として、セリ、ハイコヌカグサなどが特徴的に混生する。5〜6月が群落の最盛期で冬季は地上部が枯死する。生育地は河川の下流域で、栄養塩類に富む徴砂や粘土の混在した土壌が堆積し、常に適潤状態にある。 以上に述べたイネ科植物を主とする群落はヨシクラスにまとめられている。
ヨシクラス(低層湿原)
ヨシオーダー セリーグサヨシ群団 セリーグサヨシ群集(標徴種:セリ、クサヨシ分布:北雛〜九州) ツルヨシ群集(標徴種:ツルヨシ分布:北海道〜九州) オキーヨシ群団 ハナムグラ-オギ群集(標徴種:ハナムグラ、タチスミレ・アリアケスミレ分布:関東・近畿) オギ群集(標徴種:オギ分布:北海道〜九州)(図3)
7)ヨシ・スゲ群落
沼沢地や池沼の岸部、さらに河川下流域のワンド周辺などで・停滞水がみられる湿潤な泥湿地ではヨシとともに、各種の水生植物が生育し、群落を形成する。 停滞水が長期に及ぶ湿地や池畔ではヨシ、マコモ・ガマ属・ホタルイ属などの優占する植分が代
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