
には次のような形態的特徴が指摘されている。 (1)根菜が発達し、岩上や岩隙にしっかり固着する。 (2)茎は強靱で、少々の水流でも容易に折れないうえ、仮軸分岐を繰り返し、シュートは水流方向に向う。 (3)葉は細長く、流線型で全縁、平滑無毛になって抵抗が小さく、かたまってつく。 (4)花は葉群のなかに埋もれて水流抵抗を避ける。 このような形態は、さまざまな分類群に属する渓流沿い植物のほとんどに共通してみられる。約250種のほとんどが渓流沿い植物のカワゴケソウ科をはじめとして、約70科240属650種の渓流沿い植物が知られているが、まだまだ渓流沿い植物と認識されていない種も多く、陸上植物の0.5〜1%を占めるとも予想されている。渓流沿い植物は渓流が発達し、降水量の多い熱帯に多く、雨量の少ない地域や高緯度地方になるほど少ない。日本の西南部は渓流沿い植物の北限分布域にあたると考えられる。 日本に分布する渓流沿い植物は西南日本の太平洋側の河川上流から沖縄にかけ、南部ほど種類が多いが、全貌は明らかでない。代表的な例を表2にあげる。
表2にあげた種以外に、同じ種に属するが、渓流沿いで生態型が分化しているらしい例が報告されている。タチスボスミレ、イワボタンなどがその例で、とくに前者の渓流型はまだ正式に記載されていないが、俗にケイリュウタチツボスミレと呼ばれている。また・ショウジョウスゲの変種ナ
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