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1)河川の植物の種類数

 河川の植物にどのような定義を与えるかによって種類類が異なるので、現在のところ種類数についての有益な情報は少ない。近年、建設省が全国の一級河川の直轄管理区間で実施している「河川水辺の国勢調査」の結果によれば、平成3年度に調査された8水系では221〜606種が、平成4年度の35水系では105〜835種、全体では約2,100種が確認されている。
 この調査は比較的大きな川の中、下流が対象で、河川によって調査面積も異なるうえ、水との関わりがまったく失われている立地も調査範囲に含まれるから、平均値や全体の種類に意味はないが、このような調査が全国的に実施された例は過去になく、河川ごとの植物目録を吟味して河川に特徴的な種類だけを集計しなおせば、今後、それぞれの河川の特徴や、保護上の課題について、有益な情報が得られると考えられる。

2)優占種と立地

 ここでは上・中・下流域の別に、河辺植生の優占種と立地について概説する。ただし、上・中・下流域の群落と優占種は、あくまでそれぞれの群落の分布の中心がどの地域にあるかという程度の分類である。上流でも入り江には流れの緩やかな水域ができ、そこには下流域に多い群落が発達するし、中・下流域の河岸の岸壁に上流の渓谷に多い群落がみられることもある。
 また、ここでは広義の河辺植生にあたる、ヒロハカツラ、サワグルミ、トチノキ、ケヤキ、シデ類などが優占する渓谷林や渓畔林、ハンノキやヤチダモの優占する沼沢林や、フサザクラ、ムクノキ、エノキなどが優占する湿性林にっいてはとりあげなかった。同様に、河川の中・上流域には崩

 

 

 

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