の関連が深い。わが国で既に行われつつある幾つかの自然環境整備事業(例えば、建設省の多自然型川づくり、親水護岸整備、ビオトープ、とんぼ池、エコアップ、ベストマンシステムなど)の多くは、個別な判断のもとで実施されているが、環境復元事業としてもまたミティゲーションに適用できる技術としても高い評価を受けている。さらに、ミティゲーション制度に導入することは、現在の環境アセスメント制度のなかで実施されているフローラ調査、植生(群落)調査、植生図など植物・植生関係も新たな対応が求められる。それは、現地調査データを踏まえた生態的・生物的価値と貴重さの評価とミティゲーションの可能性(成功の確実性)への検討である。場合によっては、現在以上に精度の高い自然環境の調査内容が必要になるし、自然度を中心に行われている画一的な価値評価基準の見直しも行われなければならない。
表2.ミティゲーションにおける生態的基本条件
1.生態的・生物的素材の活用
コンクリート等の多用をさける
2.生存環境=“場”の設定
動植物の移入だけでは不十分である
将来的な修復もデザインしておく
3.到達目標の設定
維持管理マニュアルを作成する
ミティゲーション導入の課題(問題点)
ミティゲーションを実際に導入するとなると、多くの課題が残されているのも事実である。まず第1にミティゲーションの対象を生物資源(あるいは生態系)に限定できるかと言う問題である。日本では、従来から貴重種・貴重な生態系の保護に対する理解は得られているが、歴史的・文化的資源、景観などの保全に対する理解が十分に得られているとは言えない。わが国では、文化財と自然資源とを繋げた資源保全の概念が確立していない。しかし、今後世界遺産に広島の原爆ドームが指定されることなどによって、その見方も変わってくるのかもしれない。第2に、代替するのは何なのか(評価の基準、あるいは何を持って成功と判断するか)の問題である。動植物の導入で十分なのか、さらに定量的な修復も必要なのか、(生態系が果たしている多様な)機能の修復・場の修復は必要ないのか、定期的に(例えば毎年)特定の動植物を移入することを前提としたミティゲーションもゆるされるのか、などである。筑3に、複雑な生態系を修復・創造する技術が確立しているのかという点である。特に、生態系