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ミティゲーションについて

アメリカのミティゲーション

 ミティゲーション先進国はアメリカであり、連邦環境保護庁(EPA)を監督する環境審議会(CEQ,Council on Environmental Quality)がミティゲーションを推進している。 CEQ(1978年)では、国家環境政策法NEPA/National Environmental Policy Actの指導要領としてミティゲーションを以下の5段階に定義している。

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 開発を中止したり、開発予定地を変更することによって生態系・環境への影響をすべて回避するのがもっとも好ましい措置 (1.回避)であり、次の段階の措置(2.最小化)とは、開発規模を縮小したり、制限することよって開発による生態系・環境への影響を 最小化することである。回避(1)では開発による生態系・環境への影響が重大かつ深刻であり、他の代償措置が取れないとの判断が 下されれば、生態系への重大な影響を及ぼす計画が中止されるか開発予定地を変更せざるを得ない。 (2)の最小化措置は、開発による生態系・環境への影響を少なくするために 影響が重大となる予測されたブロックを積極的に保全することを含めて開発の規模を縮小することである。 開発によって影響を受ける環境・生態系に対して、新たに植物を植栽・移植したり、他からの移入により動物相を 回復することが修正に当たる措置(3.修正・修復)であり、開発工事中に特別の保存・管理をし、開発終了後に元に戻して 生態系への影響を低減または除去することが低減(4)に当たる措置である。開発工事によっては、特定の動植物相や 土壌への影響を避けるため、一時的に生物的・自然的環境要素(主に動植物と土壌)を別の場所に保管し、 工事終了後に元の立地に再移植・再移動することが実際に行われている。わが国の環境アセスメント制度においても、 (3)や(4)に相当するミティゲーション措置は実施されている。
 代償(5)は、狭義のミティゲーションの定義となるが、 代替となる動植物相・生態系を確保することによって失われる生態系・環境を補填・補償する行為(いわゆる代償措置) を指している。開発

 

 

 

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