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規模の目標・地域に関する目標・そして国としての目標という三つに大別される。

 地球規模のテーマとしてあげられるのは国連改革、軍備管理、大量破壊兵器の不拡散、核エネルギーの平和利用(この点に関して、私はドイツが日本よりもずっと様々な意見対立の議論プロセスの中にあるように思う)、そして一連の地球規模の経済・通商問題などである。

 地域ごとのテーマとしてアジェンダは、実質的に東西冷戦終焉の後に国際社会を揺るがしているすべての紛争地域をあげている。すなわち、北朝鮮、旧ユーゴスラヴィア、ロシア、旧ソ連諸国、中国、湾岸諸国、中近東である。またアジェンダには、独日二国間のパートナーシップが必要とされる一つの領域がわざわざ挙げられている。すなわちそれは、開発途上国援助における共同歩調である。

 アジェンダが挙げているこれら多くの領域を「双方の置かれている異なった状況のせいで独日協調にはいかなる限界があるのか」という問いをもとに個別に検証する作業は、たしかに有益であるだろうが、このレポートの枠を大きく超えてしまわざるを得ない。そこでここでは、いくつか代表的な点を取り出すことに留めておきたい。

 国連改革というテーマは、独日両国の、国連の安全保障理事会の常任理事国入りしたいという願望と意思を含んだものである。たしかに両国政府は、独日何れかの国の常任理事国入りがもう一方の国の常任理事国入りの問題と関連づけられるという点において一致しているものの、ドイツより日本の常任理事国入りの方がずっと正当化しやすいものである点は見過ごすことはできない。それには二つの理由がある。第一に、安全保障理事会においてアジアは過小に、ヨーロッパは過大な発言権を持ち過ぎている。第二に、進捗しつつあるヨーロッパ統合においては各国の主権に対する制限がヨーロッパ統合プロセスの結果でもあり、また前提でもあるということである。ヨーロッパ諸国の運命が、たとえばEU委員会やEU議会といった全ヨーロッパ機関によって定められるようになればなるほど、国連のような国際組織における代表・共同決定といった課題はEU組織に委ねるべきだという論理がますます浮上することになるのである。

 第四のテーマ(アジアとヨーロッパの間の関係推進のための貢献)という点について、アジェンダは既に、独日両国が単に二国間関係においてのみならず、それぞれの国が占めている地位に基づいてさまざまな枠組みの中でも対峙し合っていることに言及している。アジェンダにはASEM(アジア欧州首脳会議)が挙げられており、またEUとAPECの関係も指摘されている。これにより、独日協調の性格と課題が特に明らかになる。独日両国が今後も二国間領域において互いの理解を促進・拡大することを必要としていることは言うまで

 

 

 

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