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義国家とは言える。
 経済改革に於いても、ささやかではあるが同様に成果が見られている。破壊的なインフレは押さえ込まれ、民営化も重要な前進をなし、市場経済の原則が多くの経済分野で採用されている。部分的には初期資本主義体制が社会の主流となり、一方でそのあだ花を咲かせているが(犯罪や成り金)、他方では社会的市場経済への萌芽とも考えられる。
 ロシアには現在、力強く改革を目指す政治指導部が欠けている。そうした指導部があってこそ・国外からの投資を大々的に誘致し、経済改革のプロセスを再び活気付け、急速に広がりつつある国民の貧困に歯止めをかけられるのである。軍人や公務員、そしてまだ民営化されていない国営企業で働く労働者が、数カ月もの間給料を貰えない状態であれば、祉会に危険な火種が生まれ、民主的な発展を脅かす可能性がある。

 ロシアは今日、政治的にも経済的にも旧ソ連とは異なっている。しかし、政治、経済改革での大きな前進にもかかわらず、70年間にわたった共産主義を克服し、民主的な、市場経済の国を再建するには、数世代の時問がかかるだろう。
 とは言え、この大きな目標は遠い将来ロシアにとっても実現できそうであると、今日楽観視できる。ドイツは将来もロシアの民主化と市場経済化に於いて特別の役割を果たすであろうし、また果たさねばならない。それがドイツの外交上の関心に一致するからである。1997年1月、ミュンヘン大学に於ける講演でのレベジ将軍の発言には同意できる。即ち「ドイツとロシアの関係が順調であった時期は、常に両国にとって良い時期であった」という事実は、歴史が証明しているのである。

 

 

 

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