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克服のために、世銀の専門的な助言への期待がこれまでになく高まっている。
 他方、紛争の終わった国々の危機回避と国土再建において、世銀の役割はその膨大な資金力を背景に一層重要度を増している。世界の最貧国の中でもアフリカでは、世界最大の宗教関係援助基金IDAが中心的役割を果たしている。基本的には地域開発銀行についても同じことが言える。
 世界的に市場経済を目指す方向で開発援助が行われているのは、多国間金融機関(国際通貨基金、世銀、地域銀行)の努力に負うところが大きい。また、これら機関の性格や資金力が、融資を受ける側の国に条件を課し、実行させる力を持っていることにも拠る。旧共産圏諸国の市場経済移行において、これらの機関は非常に重要な役割を果たしている。最近では多くのアフリカ諸国が、再び目覚ましい経済成長を見せているが、ここでも国際的な支援の下に構造調整が進んでいることとの関連は明らかである。ところで、国際金融機関の効率的な活動を考えるなら、彼等に必要な資金も与えなければならない。そこで負担の分担の問題が出てくるのだが、この点についても簡単に触れたい。
 現在、IDAの拠出を巡る交渉が行われ、また地域開銀の基金の弱体が言われていることを考えると、供与国間での従来からの負担分担の構想がもはや機能しないことは明らかである。一国が分担率を減らした場合、他国が分担率を増やす形で埋め合わせができない。そこで拠出金不足となる(unallocated gaps)。IDA11の決算は7.6%の不足、アフリカ開発基金は20.35%の不足であった。
 こうした動きへの責任はG7にあり、従って日本とドイツにも責任がある。G7はリョンでのコミュニケで負担の公平な分担の原則を、再度文章で確認した(46項“We stress the importace of sharing this burden equitably”)。サミットの要求は主として自らに、そして特にアメリカに向けられたものである。
 しかしG7の共同の努力は、経済的な成功を見た途上国、特に幾つかのアジア諸国を資金提供の側に組み入れる方向へ向けられるべきである。
 国連は持続的発展のための国際協力を組織するに際して、決定的な役割を演じる。発展の目的、発展の方針に関して合意を形成するに不可欠な場である。
 こうした評価において我々は日本と一致している。また、国連の経済部門と社会部門の改革が必要であるとする点でも一致している。リョンにおける前回のG7で我々は、他のG7メンバーと共に重要な決議を行った。この決議をEU諸国も取り上げ、EUとしての国連改革案を作成したが、その内容はリョンの決議と一致している。
 ドイツと日本は、EUとG7が国連改革について一致団結するに、多いに貢献した。
 今とりわけ必要なのは、改革のための国連内の基礎固めである。国連改革は、途上国を合む加盟国の大半が改革のメリットに確信を持つことによってのみ成功する。
 国連の各組織、機関において我々両国政府は良く協力している。国連の役割と意義について基本的な共通認識を持っていることから、個別の問題に関して同じ、乃至は似たよう

 

 

 

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