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内枠組条件の改善から着手する。言い換えればそれを協力の条件とし、協力の内容とする。
 ドイツ政府は以下の5つの主要枠組条件を援助政策の判断基準とし、それに従って我々の協力の方法と規模を決定する。つまり人権の尊重、政治決定への国民の参加、法治国家として法の安定が保証されていること、福祉に配慮した市場経済を目指す経済秩序であること、国が発展を目指す施策を取ることである。
 限られた公共財政をできるだけ最重要問題に効果的に使うために、重点的対処もまた必要である。ドイツの政府開発援助では貧困対策、環境保護、教育、職業訓練が重点とされている。



IV

 我々は日本という良き協力者、友人を持っていることを嬉しく思う。将来の大きな課題解決のために、共に国際社会に貢献している。
 ここで、開発援助における日独協力は素晴らしいと申し上げたい。私自身も、昨年、一昨年と選挙区のツェレという町と東京で、日本政府と開発援助に関る協議をさせていただいている。どちらの会合でも、援助政策の根幹部分でほぼ同じ考えであることが確認されたが、さらにブロジェクト・レベルでの具体的協力の改善を試みることが開始され、格別嬉しく思った次第である。このような形で互いの仕事をより良く知ることで、協力を徐々に拡大し、強化できるだろう。また、実施機関であるGTZと皿CAの間で合意した人的交流も、これに寄与するだろう。日本は世界最大の援助国になり、ドイツは第3位である。両国共に1995年、DAC加盟国の開発援助の約37%を拠出している。
 さて、グローバルな問題の解決はやはりグローバルな機関を必要としているが、ここでも日本とドイツは信頼に満ちた建設的な協力を行っている。
 重要な役割を担うのは国際金融機関である。例えば世界銀行やアメリカ、アフリカ、アジアの開発銀行などの名が浮かぶ。アジア開銀では、率直に言って日本が圧倒的な影響力を持つ。我々から見ればそれは何の問題もない、というのも連帯と効率、そして権威を期待できるからである。
 国際金融機関、特に世銀の評価については、日独で一致する部分が多い。途上国への民間資本流入が急速に増大する中で、世銀が最重要課題である貧困対策に活動を集中させ、目的達成のために各種の融資制度をさらに開発して行くことは正しい方針である。このほか世銀は、国ではない関与者、市民組織、NGO、地域レベルの組織などとの対話に対し、常に開かれた姿勢を取ってきた。また、環境保護における世銀の熱意も特に評価したい。世銀はまた、途上国の民間経済育成も活動の重要分野へと拡大した。世銀の融資先には、急増した国際民間投資を集中的に集められるような中進国が含まれている。これらの諸国では今日、開発促進の枠組み条件の確立や民間活力の利用、社会や環境面での緊急課題の

 

 

 

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