以下の三点を提案しておきたい。第一は、サービスの質と量に関するものであるが、サービスの供給体制のインフラを注意深く整備しておく必要がある。不充分な供給体制の上で保険だけを導入してもシステムは機能しない。第二は、財源とその配分方法に関するものである。財源は本人負担と公的負担とから構成されるが、できるだけ公的負担の比重を増やさぬようにすべきである。公的負担が増えると、受給者は零給権を主張する一方でサービス請求に自己抑制がきかなくなり、止めどもなく支給規模が膨らむおそれがある。第三に、民間サービスの活用である。とりわけ受益者にはあらかじめ介護費用総額のクーポンもしくはvoucher(バウチャー)を渡しておき、その範囲内で公的あるいは民間のサービスを自由に選択できる仕組みを提案したい。そうすれば、市場メカニズムを通じて受益者に自己抑制が働くと同時に、サービス供給者間に官民を合めた競争原理が働き、効率化と質の向上が進むはずである。