処理地雷の処理、対人地雷の廃絶についての協力強化が肝要である。また、国連安全保障理事会の常任理事国に日独両国が加わることが、同理事会の構成を国際社会の実状をより正確に反映し、実効性あるものにするために重要である。
(3)これまで交流が比較的乏しかった東アジアと西欧の結びつき強化に、地域の大国として協力して貢献することが必要である。ASEMを強化し、EUとAPECの関係の緊密化を図ることが重要である。
(4)先進民主主義国が共通して直面する課題の解決に向けての両国の協力が必要である。具体的には、a)高齢化・少子化の進行のなかで、いかにして社会の活力を保持し、社会保障制度を維持するか、b)技術革新と経済活動の国際化と国際競争の激化により生じる失業問題や貧富の差の拡大等の経済的困難をいかに克服するか、C)社会の豊富化にともない、家族・地域社会・宗教団体・職能団体等の社会的凝集力と秩序維持能力が弱まっているなかで、いかにして社会秩序を維持するか、d)中間的社会集団の凝集力衰退、マス・メディアの発達等により、政党の組織力が弱まり、有権者の投票行動が不安定化し、人々の関心が断片化するなかで、いかに民主主義を活性化させ、政治的リーダーシップを確立するか、等が挙げられる。
これらの課題解決を目指す先進民主主義諸国の努力・経験を相互に学習し、よりよい方途を協力して模索することが日独両国を含めて強く求められる。
第四セッションにおいてドイツ側からは、マルクス・ティッテン・エーベンハウゼン研究所主任研究員が、「ドイツと日本一両国の歴史的な責任」とのタイトルで報告を行った。ドイツ側の議論内容は、次のとおりである。
国益を背景とする自国の役割理解として、東西冷戦期においては、第二次世界大戦の敗戦国であるドイツと日本の置かれた状況を比較する試みは一般的であり、ある程度正当性を持つと認められていた。しかし、冷戦終結後の現在、両国を取り巻く状況は比較を行うことの妥当性が認められないほどに異なっている。
個々の国家の新しい役割や新しい世界秩序を求める要求が登場している。とりわけ注目に値するのは、新しい役割規定を必要とする意識が、ドイツと日本の両国において特有な形で集中的に表れている点である。役割に関する議論が登場するのは、国益(国としての利害関心)を巡る議論と関連であり、独日両国で、「ノーマルな国家でありたい」との同じ回答が登場している点は興味深い。或る国が多国間の枠組みで果たす役割は、その国の国益と関係する。他方、国益にも国内向け要素と対外的要素が含まれる、国内的要素には、