第四セッションでは、「多国間枠組みにおける日独の新たな役割と協力関係」を議題として取り上げ、日本側からは、佐藤誠三郎・世界平和研究所研究主幹が、「政治・安全保障分野における多国間枠組みにおける日独の新たな役割と協力関係」とのタイトルのもとで、報告を行った。日本側の議論の要旨は、次のとおりである。
現在、世界には190の国家が存在する。これらの国々を大別すると、(1)先進民主主義国(アメリカ、日本、ドイツ等)、(2)国家的統合は保持されているが民主化は不十分な国家(権威主義体制の下にある発展途上国、旧共産主義国)、(3)帝国的秩序の崩壊後、複雑な民族・宗教紛争により国家形成に成功せず、無秩序状態が広がる国(サブ・サハラ、旧ソ連、ユーゴスラピア)の3つに区分できる。
先進民主主義国の重要性が高まっている。先進民主主義国の特徴としては、(1)基本的に安定していることであり、共産主義体制の崩壊が相次ぐのと好対照をなしている。次いで、(2)産業化、豊富化を達成していることであり、産業化の動力の技術革新をリードしているのに加えて、途上国援助に積極的役割を果たしている。さらに、(3)平和への貢献を挙げることができる。先進民主主義国間の戦争は、これまで一度も生じていない。先進民主主義国は基本的に、現状維持国家であり国際秩序維持的である。先進民主主義国間の関係は基本的に平和的である。このため、今後の世界平和は西側同盟の結束に依存している。