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第ニセッション「経済分野における多国間枠組みと日独協力」

 第ニセッションにおいては、まずドイツ側から、クラウス=ユルゲン・ヘトリッヒ・連邦経済協力省政務次官が報告を行った。ドイツ側の議論の要旨は、以下の通りである。

 日独両国は、共にコンセンサス社会という構造的特徴を有している。世界経済のグローバル化という共通の課題に、日独両国がどのような解答を出すか、世界から注目されている。日独両国は、指導的な先進工業国として、世界経済に特別な責任を有している。貧困、低開発、環境保護、麻薬、エイズなどのグローバルな課題に対しても同様な責任を負っている。

 現在の世界秩序の特徴は、グローバリズムと相互依存である。国境の開放、技術・通信・輸送の著しい発展、経済関係の緊密化、資源と自然環境への相互依存が、世界各地の発展をこれまでにないほど互いに密接に関連させている。国や大陸の境を越えて我々全てに降りかかる社会、エコロジー、文化の問題が増加している。その結果、国際社会は一つの利益共同体にならざるを得ない。

 開発援助は、一国内に留まらず世界全体に関わるグローバルな課題に対処しようとするものである。90年代以降の開発援助には、新しい重点が取り入れられている。それは、相手国の潜在力を引き出し、さらには民間投資へのインセンティブが高まるような枠組み・条件を整備することである。

 以上の認識に基づき、ドイツ政府の援助政策においては、5つの主要枠組み条件が判断基準となっている。すなわち、(1)人権尊重、(2)国民の政治決定への参加、(3)法治国家として法の安定の保証、(4)福祉に配慮した市場経済、(5)国が発展を目指す施策をとること、である。また、重点分野として、貧困対策、環境保護、教育、職業訓練があげられている。

 日本とドイツは、グローバルな機関においても、共通の関心事を持ち、建設的な協力を行っている。今後も我々がこの方向に進んでいけば、人類が直面する大きな課題の解決に貢献できるだろう。

(1)世界銀行

最重要課題である貧困対策に活動を集中していることは評価できる。

途上国の民間経済育成に対する貢献への期待や、紛争国の紛争後の危機回避と国土再建への役割が高まっている。

旧共産圏諸国の市場経済移行、アフリカ諸国の経済発展への支援など、市場経済化を目指す支援にも大きな力を発揮している。

 

 

 

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