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(3)最近の動き
MARPOL73/78条約は、IMOの海洋環境保護委員会(MEPC)で審議・検討され、改正されているが、1992年の第32回MEPCでは、(1)タンカーの座礁、衝突事故発生時における油の大量流出を防止するため、一定のタンカーの船体を二重構造化する、(2)船舶からの油の排出基準を強化する、について附属書Iが改正され、1992年の第33回MEPCでは、ばら積みで運送される有害液体物質の分類の見直し等に関して附属書IIの改正が行われている。
 また、1994年の第35回MEPCでは、船舶の運航上必要な操作要件に係るポートステートコントロール(PSC)に条約上の根拠を与えるための条約改正案が合意され、1995年のMARPOL条約締約国会議で採択された。さらに、1996年の第37回MEPCでは、(1)船内で発生する廃物の不法投棄防止を図るため、プラカードの船内掲示、廃物管理計画の策定及び廃物記録簿の備付けを新たに義務づける条約附属書Vの改正案、(2)附属書I第13F規則(5)のタンカーダブルハル代替構造の承認ガイドライン、(3)主管庁代行機関の承認に関するガイドラインが採択されている。
 なお、船舶からの排出ガスによる大気汚染防止について現在検討が行われており、MARPOL73/78条約新附属書の策定作業が1996年度中の採択を目途として進められているところである。

IV OPRC条約

(1)採択の経緯
1989年3月にアラスカ沖で発生したエクソン・バルディーズ号の座礁事故に伴う大量油流出事故は、海洋環境に与える影響が甚大であったことと事故が発生した際の初動体制及び処理体制が十分機能しなかったことから改めて大規模油流出時における防除体制の強化及び国際協力体制の確立の必要性を認識させた。この事故を受けてIMOは、緊急防除に関する国際協力体制の確立を主たる内容とする新条約について約1年ほど検討を行い1990年(平成2年)11月30日に本条約は採択された。

 

 

 

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