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 海上保安庁は、上述のような体制で我が国周辺海域の海洋汚染の監祝取締りを行い海洋環境の保全に努めている。特に東京湾、大阪湾を合む瀬戸内海等の船舶ふくそう海域、タンカールート海域等汚染発生の可能性の高い海域には航空機及びヘリコプター搭載型巡視船等を重点的に配備し海空連携による広域的な監視取締りに当たっており、この結果、海上保安庁は、平成7年には海上環境関係法令違反として859件を送致した。

巡視船による公害取締り

法令別違反送致状況及びその推移は、第2表に示すとおりで、船舶からの油、有害液体物質の違法排出及び廃棄物・廃船違法投棄等の事犯が、平成7年には758件と全体の約88%を占めており、未だ関係者の海洋汚染に対する認識が十分でなく、海洋汚染の防止意識が徹底されていないことを示している。
 海洋汚染事犯は、監視取締りが厳しくなるに従い、その目を逃れるため手口がますます巧妙となり、潜在化する傾向がみられるため、工場排水の採水分析及び夜間監視装置の活用等により監視を強化している。
 また、平成7年に海上保安庁が確認した油による海洋汚染のうち、排出源不明のものが全体の約20%を占めているが、これらの中には夜間に排出されたものによる汚染が多数合まれているおそれもあるので、これら汚染の排出源を究明するための抜術的な手法の開発や夜間における監視体制を強化していくこととしている。
 このように海上保安庁では、今後とも監祝取締りを一層厳しくしていく方針であるが、もとよリ海上保安庁の監視取締りの強化や法規制の強化だけでは海洋汚染を防止しうるものではなく、海に係る全ての人々が海洋汚染の実

 

 

 

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