海上保安庁では、油、廃棄物、又は工場排水などによる海洋汚染を巡視船艇・航空機等によって自ら発見し、また海洋汚染防止推進員、海事関係者や漁業関係者など海上保安庁以外の者からの通報を受けてこれを確認することにより、我が国周辺海域における海洋汚染の実態を把握している。
海上保安庁が、我が国周辺海域において確認した海洋汚染の発生状況は、次のとおりである。
(1) 発生確認件数の推移
最近の我が国周辺海域における海洋汚染の発生確認件数は、第1図のとおりで、全体的には減少の傾向を示している。
このような、海洋汚染の減少の傾向は、45年末のいわゆる公害国会以来一連の公害防止関係法令が逐次整備強化され、これらの法令に基づく各種の公害防止施策が講ぜられるとともに、公害問題に対する世論の高まりから関係者の公害防止意識も高まり、その効果が現れてきたものと考えられる。また、運輸省及び海上保安庁が、海事関係者などに対して、関係法令や汚染防止のための具体的な方策等についての指導を強力に推進してきたこと及び海上保安庁が巡視船艇・航空機等を効率的に運用して強力な監視取締りを実施してきたことが、海洋汚染の減少に大きく寄与しているものと考えられる。
平成7年の海洋汚染の確認件数は、前年に比べ79件増加し平成2年以来5年ぶりに増加をみた。油以外のものによる汚染は減少傾向にあるが、