では約九%、漁船以外の船舶と漁船の場合では、漁船以外の船舶が約一八%、漁船が約五%、漁船同士の場合では約一%で、漁船が関係する場合に相手船との判断の差異が多いことを示している。

いずれの事例においても双方の判断が一致しているとみられる例は少ないが、これらの船舶はすべて衝突していることからすれば、相互の判断に食い違いがあり、その格差が大きくなれば事故に発展する可能性があるということができるだろう。ここでは「相手船が避ける」という判断に対する相手方の操船者の判断の例を示したが、他の判断についても、一方の判断に対するいま一方の判断との間には種々食い違いがあり、例示と同じような傾向を示している。

これまでみてきたように衝突が発生するのは、双方の操船者がそれぞれの状況について判断した内容に差異があり、このため、それぞれの操船者が次に起きると予想した事態と実際に起きる状態との問に差異が生じることになり操船者が予期しない事態に対応できない場合ということができるだろう。

しかし、当初の判断に差異があっても、船舶同士の見合い関係では、視認したときから接近するまである程度の時間的な経過があるから、その時間的経過の中で船舶間の相対関係の変化に注意し、判断を修正していけば事故は避けられる可能性がある。すなわち、視認後双方共に相手船の監視を続けていれば、衝突の危険を察知することは可能であろう。事例では大半の操船者が判断後に相手船から注意をそらせている。これは、状況について判断した後の危険はないという認識によるものとみられる。

危険があるという認識があれば相手船から注意をそらすことはないのは、例えば義中における衝突事例をみれば明らかである。

このように危険がないという認識が判断後の注意の向け方を左右し、衝突の発生につながっているとみられるが、これらの関連をみるため操船者が相手船を視認し、衝突の危険の有無を判断した後、どのような対象に注意を向けたかを調べてみる。

(次号に続く)

水路図誌の新刊・改版のお知らせ@

                                                        海上保安庁水路部

番号・図面 縮尺 刊行月 図積 記事
海図(改版)
     94 四日市 1:15,000 平8.4 平成7年までの水路部の測量及び諸資料による。

縮尺を1/10,000から1/15,000に変更した。

  1081(INT5306) 浦賀水道 1:25,000 平8.4 最近までの水路部の測量及び諸資料により、国際海図様式に改めて改版した。
  1804 シンガポール海峡

            至カリマタ海峡

1:800,000 平8.4 最近までの部版海図及び英版、米版、インドネシア版海図などの諸資料による。縮尺を1/750,000から1/800,000に変更した。

 

番号・書誌名 刊行月 記事
書誌(新刊)
105 追1 九州沿岸水路誌 追補第1 平8.3 水路通報平成8年4号まで、及び水路部収集の諸資料により編集してある。
684 平成9年 天体位置表 平8.3 精密天文・測地作業に使用するもので、必要な諸天体の位置及びその他の諸量を最も高い制度で掲載している。

 

 

 

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