あるとみられ、これらの判断をした後、一方または双方の操船者が相手船から注意をそらせる場合が多い。

<表5>漁船同士

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一方が「相手船が避ける」と判断し、他の一方が相手船を視認していなかった場合が約四三%と相手方の操船者の判断の中に大きな割合を占めていることに注意すべきであろう。双方の操船者が互いに相手を視認していれば、当初双方の判断に差異があったとしても時間的経過の中で相互の関係の変化の中に危険を見い出し対処することが期待できるが、一方が相手を視認していなければそのような期待は持てない。
「相手船が避ける」と判断した操船者は、予測と全く異なる相手船の動きに直面することになり、また、相手方の操船者は、相手船について何の認識もないから、全然予期しない事態に対応を迫られることになり、事故発生の可能性は極めて大きいと考えられる。
(2)漁船以外の船舶と漁船の例
表4に示すとおり漁船以外の船舶の操船者が「相手船が避ける」と判断した場合、漁船の操船者の判断としては、表4上段の13の相手船の動向に注意していた四隻以外は、相手船を避ける意図はみられない。
漁船の操船者が「相手船が避ける」と判断したときの漁船以外の船舶の操船者の判断は表4下段の3、8、10および11にその意図が認められ、漁船の方にこのままで大丈夫といった認識が多いように思われる。
このような判断をした後、相手船から注意をそらせる操船者が多いことは、前述と同様である。相手船を視認しなかった割合は、漁船の場合約五八%、漁船以外の船舶約四六%といずれも高いが、漁船でより高率となっている。
(3)漁船同士の例
表5において、相手船を避ける意図があるとみられるのは、8のみで、そのほかは「相手船を避ける」という意図があるとはみられない。多くは無難にかわるという判断が根底にあるとみられる。漁船の操業に関連する判断が多いのは当然であるが、特に目を引くのは、相手船を視認しなかった操船者が「相手船が避ける」という判断に対し約七六%を占めていることである。
3、繰船者の判際の差異と事故発生の関連
以上三つの区分による事例で、「相手船が避ける」という一方の判断に対して、他方が「相手船を避ける」という判断をしている割合は、漁船以外の船舶同士の場合

 

 

 

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