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(7)鉄道施設

 明治34年(1901)の鎮守府開庁時、軍港施設に必要な資材は、阪神方面からの船便か、阪鶴鉄道(明治33年開通)によって福知山に送られ、そこからは鉄道がないため由良川の水運等を利用して舞鶴まで運ぱれた。
 当時、シベリアから南下を続けるロシアとの関係がおもわしくなく、国防上からも舞鶴軍港に続く鉄道の敷設が強く望まれていた。そして、明治35年に福知山から舞鶴までの鉄道を官設することが決まった。
 日露の開戦を前にして緊急敷設路線として、福知山から全線突貫工事で目露戦争最中の同37年10月に福知山〜新舞鶴間の官設「舞鶴線」が完成し、翌11月3日から営業を開始した。舞鶴〜海舞鶴、新舞鶴〜余部間も同時に開通した。
 なお、この新線は他の官設線と隔離しているうえ、短距離であったため、完成と同時に阪鶴鉄道(株)に貸与され、同社が宮業を受け持った。しかし、同39年に「鉄道国有法」が公布され、翌年国の管理となっている。この官設舞鶴線の隧道、橋梁の橋台、開渠(ふた等でふさいでいない川)等の施設に多くの煉瓦が使用されており、私鉄のように装飾されたものはないが当時の構築物が現在も使用されている。
 これらの構築物からは、数種類の刻印が確認されており、突貢工事であったため、多くの煉瓦製造会社から供給されたことが伺える。

 

 

 

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