?A 教育環境の徹底化。
?B パソコンの導入(言語指導に。)
?C 重複障害への教育が進んでいる。
?D 教育制度においてより専門的。
そして、日本のろう教育界はどうであろうか?是か非は別にして、教育には確固たる理念がないと絵空事に終る危険性があるのではないかと思う。永い間指導方法を“口話いや手話だと…。”まさに理念のない五里霧中の日本が見える。
今、日本のろう教育は様々な問題を持っていることが、改めて良く判ったと思う。今までは自国で自国の問題を話しあうことぐらいだったのだから、やはり日本を知るには海外へ出るのが一番の早道であると考える。
海外研修で訪ずれた国々はいずれも伝統があり、美しい町並みが印象的でした。特にフランスのセーヌ川を下りながらの夜景は忘れることが出来ないだろう。
最後に、私こと実は、海外は始めてなのである。という訳で色々と助けて下さった団の皆様に感謝すると共に、2週間という長旅に理解を頂いて下さった会社関係の方々、並びに地元のろう協会に感謝したい。
「貴重な体験を得られた欧州研修」
吹野昌幸
世界青少年交流協会の事業の1つである、身障者(ろう者)の国際体験が6年前から始まった事は知っていた。なぜなら何をかくそう、初回の時に地元のろう団体から推薦があったからで、当時私自身はろう者でありながら、ろう者をとり巻く知識が皆無だったので「自信ない」と辞退した。今年に入って、2年前に参加した方達から「参加してみないか?色々勉強になると思う」とすすめられて、熟慮の末参加を決意し、申し込んだ。海外派遣団員通知を頂いた時は大変嬉しく思ったが、15日間という長い期間である事、欧州のろう者とうまくコミュニケーションをとれるのか、あるいは水や食事、環境変化で体調が不調になったりしないかとマイナスばかり考えていた。と同時にろう者とは何者か?又は理想のろう教育とは何か?追求したい気持ちもあった。
ろう教育発祥の地、欧州へ12時間の空旅を経て無事ドイツのフランクフルトに到着した時、あらゆる所がアルファベット表示になっている事や、私より背の高い、金髪だらけの人々を見て、ああ本当に欧州に着いたんだ…と思わず感激。今から約120年前、幕末の指導者達が長ーい船旅を経て欧州の地に降り立った時の心境がよくわかるような気がする。(交通手段は違うけれど…)
研修プログラムの中で興味を持っていたものはろう者・難聴者学校訪問とろう者との交流会だった。欧州のろう教育方針は口話法が主流であると以前から聞いたが、それよりも自分の目で確かめて見たかったのだ。
ドイツのプファルツろう学校を訪問して授業見学、色々な説明や講義を受け、この中で私たち団員にとって最も衝撃的だったのは3〜4才児のろう児に聴力検査によって、中には人口内耳の手術を奨励するという事であった。なぜこの子に人口内耳を装着せねばならないのか?更に追い打ちをかけられるように「ドイツの教育方針では“手話”という定義はない」の話が…。この話は私たちにとってとても残念に思えた。ろう者のアイデンティティを奪う行為に思えてしまった…。しかし、評価できる所もあった。それは口話主義をとっているものの、生徒同士の会話には手話を取りあげないという事、もう1つはろう者・難聴者・言語障害者とはっきり区別して、それぞれ適した教育を行なっているのである。手話を取りあげない事が、私たちにとってせめてもの救いだった。日本では、ろう者のためのろう学校はあるが、難聴者のための学校はない。ろう学校か、普通学校かはっきりしないので難聴者には気の毒である。口話法教育に成果があったのか、聴者とコミュニケーションできるろう者が沢山いたのは事実。発生ができるという事は口話法の成果かもしれないが、
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