団員レポート
「有意義だった欧州研修」
蔭山英則
私が、この海外研修に参加しよう…と思ったきっかけは、一昨年、昨年と続けて参加した福島在住の友達に「いい経験になった。あなたも是非、参加してみてはどうか。」と勧められたからです。15日間の長い日程と、自分の健康面に不安がありましたが、「海外のろう者達と交流する事は、貴重な体験になるのではないか。」という気持ちが芽生えた為、参加しました。
さて、訪問した4ケ国の事情と、私が感じた事を述べます。
まず、ヨーロッパに向かう途中の機中でコックピットに入り、いろいろ説明を受けた時、この15日間の企画に対してワクワクするものを覚えました。
最初の訪問地ドイツのハイデルベルク市は今年で800年を迎え、その市長と会い一緒に歓談したりハイデルベルク城の地下に、王様の為のワインの樽が置いてあって、その大きさにビックリしました。
3日間泊ったロマンチックホテルは、古風な建物で中世にタイムスリップした様な感じでした。ハイデルベルクのプファルツろう学校は170年の歴史のある学校です。授業内容は口話、生徒同志は手話というやり方でした。
また、小さい子供のうちから耳の故障を調べて、人口内耳を入れるか、否かを判断するなど医学面で力を入れている事がわかりました。
そこの寄宿舎は、ろう者が安心して生活できる様なしくみになっていて、また交流しやすい居間もありました。
夜の地元のろう者との交流会では、初めはなかなかドイツの手話が読めませんでしたが、最後は少しずつ会話ができる様になり、楽しい交流ができました。
ローテンブルクは、お伽の国に行った様な町でかわいらしい古い建物が並んでいました。
でもフランクフルトは、新しいビルが建てられていて、地下鉄がきれいで日本に近い感じでした。フランクフルトのろうセンターで120人ぐらいの地元のろう者の前で、団体を代表として私が挨拶の言葉を述べた時はちょっと緊張しました。
でも感謝の気持ちを述べた後は、ほっとしました。その後、一緒にレストランに行って夜遅くまで交流し、心が通じたことは忘れられません。
次にオーストリアのウィーンでは、まず社会省を訪問しました。
担当の人の話で特に印象深かった事は、外国人でも長くいれば障害年金がもらえる。
また、ここでは障害者は普通の会社に入るのが難しい為、1つの会社に25人以上の場合1人の障害者をやとう義務がある。
(50人の場合2人といったふうに)
次に障害者訓練センターでは、あらゆる障害者ができるだけ自立できる様に、療法士が24時間または、その人にあわせて一定時間の介護を行なっている事…日本人としてうらやましく思いました。
身障者家庭訪問では、足の悪い人が3人一緒に住んでいるマンションを訪れ、車イスが動きやすい様に部屋、台所、ろう下全て広めに作られていて福祉の向上に力を入れている事がわかりました。
ウィーンの217年の歴史のあるろう学校は、パリ、ライプチヒ(ドイツ)についで3番目です。100年ぐらい前の教材、机など古い書物が保存されている博物館を見学した時は、伝統の重みに圧倒される思いでした。
夜の観劇は、正装でミュージカルを見ました。ウィーンの文化、芸術にふれた感じて印象に残りました。
3番目の国ハンガリーは、今年で建国1100年目を迎えました。
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