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オーストリアの人口は約800万人で、そのうち聴覚障害者は約30万人(難聴者、老人性難聴含む)、高度難聴者は約3万人、全ろう者は約6000人。

聴覚障害者の就職先はほとんどが公務員で、一般企業は少ない。

現在、聴覚障害者の20%が失業中(ちなみに、オーストリア全体では5%が失業中)。

日本でいう障害者雇用促進法があり、1つの会社で25人以上の労働者がいる場合、1人の障害者を雇用する義務がある。従わない会社は、1カ月2000シリングの罰金を支払う。

また、職業アシスタントとして通訳者がろう者のいる職場で援助する。

通訳派遣制度があり、EUからの援助で通訳者養成(グラーツ大学)も行っている。だが、国家認定の通訳者は25人と少なく、3年後には2倍の増員を目指している。

(注)オーストリアは1995年EU(欧州連合)加盟。それに伴い、ヨーロッパ基金を利用して様々な事業を行っている。

■身体障害者訓練センター(青少年障害者事務職業訓練施設)

社会において自立できるように援助していくことが目的で、自立する上で必要な技術、職業面・生活面にわたった教育を行うところ。

職業的自立の可能な障害者を対象とし、中途障害者は対象としていない。

訓練生は25名で、年齢は16〜18才、期間は5〜7年。

教育課程については次の通り。基礎コース(1〜2年)→職業訓練、実習(3〜4年)→施設で実習(1年)→国家試験

更生寮もあり、自立できるよう援助している。

運営面については、州からの介護手当、また寄付によって賄っている。

(注)脳に障害をもった障害者を対象とした施設

(注)EUからも援助を受けている。

■連邦聴覚障害者学校(1779年創立)

世界でも古い歴史をもつ(フランス、ドイツ、イギリスに並ぶ)。

1760年 フランスのパリろう学校創立

1778年 ドイツのライプチッヒろう学校創立

1779年 オーストリアのウィーンろう学校創立

1783年 イギリスのハックニーろう学校創立

博物館が併設されており、昔の補聴器や写真、作品などを展示している。

(移転の際、地下室などから運び出して生徒たちが修復)

小学2・5年生のクラスをまわる。

(パソコンを使った授業)

口話法が主流であるが、手話、キュード、身振りなどを交えて指導。

1995(平成7)年7月10日から一週間にわたってここウィーンで第12回世界ろう者会議が開催されたが、その後の政府の社会事業に関わりはなかった。残念。

 

 

 

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