日本財団 図書館


 

3) 圧力容器試験の標準試験条件

圧力容器試験により、物質の加熱分解による圧力発生挙動に影響を及ぼす因子として、加熱速度、試料量(充てん割合)および圧力容器サイズがある。そこで、加熱は加熱速度に均一性と再現性が期待できる電気加熱とし、試料用容器としては加熱分解に影響を及ぼさず、また、試験容器の洗浄が容易なガラス製容器を用い、標準試料の加熱分解の激しさに及ぼす加熱速度、試料量(充てん割合)および圧力容器サイズの影響について検討した。

 

3。2。 結果と考察

3。2。1。 加熱の均一性および再現性

本実験に用いた圧力容器試験装置の電気加熱による加熱の均一性を調べるため、圧力容器に固体試料として酸化アルミニウムおよび液体試料としてシリコンオイルを用いた場合について標準条件による加熱を行い、各位置での温度上昇挙動を調べた。結果を図4−図6に示す。

これらの結果より、電気加熱方式はほぼ均一な温度上昇挙動を与えるといえる。

一方、電気加熱を用いた場合の圧力容器試験による圧力発生挙動の再現性に関する知見を得るため、標準試料について、繰り返しの圧力容器試験を行い、その圧力発生挙動の再現性に及ぼす加熱速度、試料量および圧力容器サイズの影響を調べた。結果を図7−図21に示す。

これらの結果より、電気加熱方式は加熱速度、試料量および圧力容器サイズによらず、極めて優れた再現性のある圧力発生挙動を示すといえる。

3。2。2。 加熱速度の影響

各種標準試料、圧力容器サイズおよび試料量について、加熱による圧力発生挙動に及ぼす加熱速度の影響を調べた。結果を表1−表4および図22−図30に示す。

これらの結果から、TCP、AIBNおよびADCAは加熱速度により最大到達圧力および圧力上昇速度は顕著な影響を受けないが、BPZの場合は加熱速度を大きくすると、最大到達圧力および圧力上昇速度は大きくなる傾向を示す。すなわち、加熱速度の影響は物質の種類により異なるといえる。

 

3。2。3。 試料量の影響

各種標準試料、圧力容器サイズおよび加熱速度について、加熱による圧力発生挙動に及ぼす試料量の影響を調べた。結果を表1−表4および図31−図39に示す。

これらの結果から、試料量を増加すると、それに比例していずれの標準試料の場合も最大到達圧力は増大し、また、圧力上昇速度も増大する傾向を示す。試料量の代わりに試料量を圧力容器の内容積で割った充てん割合の最大到達圧力および圧力上昇速度に及ぼす影響についても、同様な傾向を示し、圧力容器サイズにかかわらず試料量および試料の充てん割合はそれに比例して最大到達圧力および

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION