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危険物の国際基準策定に関する調査研究

1。 研究目的

国連危険物輸送専門家委員会は、危険物輸送に係わる基本的要件(危険物の定義・分類、容器基準、評価試験方法および判定基準)について検討を行っており、同専門家委員会で決定された基準等は国連勧告としてまとめられ、これが海上運送をはじめとした各輸送モードの国際運送基準(海上輸送においてはIMOのIMDGコード)にとりいれられている。

このような中で、平成7年7月開催された国連危険物輸送専門家委員会第10回小委員会において、外部加熱による危険性評価のための圧力容器試験の国連統一試験法の策定に関し、その基本原則についての我が国提案が採択された。これに伴い、我が国はこの基本原則に基づく具体的試験法を同専門家委員会に提案する必要があり、そのため当調査研究を実施した。

 

2。 国連統一圧力容器試験の基本要件

圧力容器試験は物質の加熱による分解の激しさを再現性よく調べるためのものであるとの認識から、密閉下で、電気加熱を用いた均一加熱により圧力上昇挙動を計測するのが適当であるとした。また、試験実施上の点から、小型の試験装置、試料用容器の使用が望ましく、安全上から安全弁の設置が望ましいとした。

 

3。 国連統一圧力容器試験の標準試験方法

3.1。 試験方法

1) 標準試料

標準試料としては、主として圧力容器試験を用いて危険物分類を行うことが適当と考えられる有機過酸化物および発泡剤の内、加熱による分解の激しさの異なる次の4種類を選んだ。

有機過酸化物:

t−ブチルペルオキシベンゾエート(BPZ)(液体、日本油脂(株)製)

ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシシカーボネート(TCP)(固体、日本油脂(株)製)

発泡剤:

アゾイソブチロニトリル(AIBN)(固体、大塚化学(株)製)

アゾジカーボンアミド(ADCA)(固体、大塚化学(株)製)

 

2) 圧力容器試験装置

圧力容器試験装置は圧力容器、加熱装置および計測装置からなる。圧力容器は圧力容器サイズの影響を調べるため、圧力計および安全弁を付けた100mlおよび30mlのものを新たに作成し、自治省消防研究所所有の8mlのものによる結果と比較検討できるようにした。圧力容器試験装置を図1−3に示す。

 

 

 

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